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権三と助十(岡本綺堂)のあらすじ・登場人物

井戸替えの長屋と大岡裁き

  • 風刺
  • 歴史

岡本綺堂 1926年(昭和元年)7月

文字数
33,745字
読了目安
約1時間7分
表記
旧字旧仮名
舞台
  • 東京都

この作品について

岡本綺堂の二幕の戯曲。1926年(大正15)7月に東京の歌舞伎座で初演され、十五代目市村羽左衛門が権三を、二代目市川左団次が助十を演じた。講談の『大岡政談』の一挿話「小間物屋彦兵衛」に出てくる駕籠かきの二人を主役に据えた、明治の芝居『権三助十』を下敷きにしている。享保のころ、神田橋本町の裏長屋は年に一度の井戸替えの日。壁一重の隣どうしで喧嘩の絶えない駕籠かきの権三と助十、その女房や弟、猿まわし、願人坊主、世話焼きの家主が騒いでいるところへ、大坂から一人の若者が家主を訪ねてくる。長屋の人々の江戸言葉の掛け合いで運ぶ世話物で、1937年には伊丹万作の監督で映画にもなった。

あらすじ

享保のころ、神田橋本町の裏長屋は井戸替えの最中。駕籠かきの権三は昼寝を決め込み、隣の助十・助八兄弟と口喧嘩になり、家主の六郎兵衛に叱られる。そこへ大坂から小間物屋彦兵衛の息子彦三郎が訪ねてくる。長屋に住んでいた彦兵衛は、馬喰町の旅籠米屋の女隠居を殺して百両を奪った罪で捕らえられ、白状して牢死していた。父の無実を信じる彦三郎は、駆け込み訴えも辞さないと思いつめる。見かねた権三と助十は、事件の晩、天水桶で袖と刃物らしいものを洗う男を見かけ、それが豊島町の左官屋勘太郎に似ていたと打ち明ける。六郎兵衛は一計を案じ、権三・助十・彦三郎の三人に縄をかけて、長屋で乱暴を働いたことにして南町奉行所へ引き立て、大岡越前守の白洲で証言させる。一月ほど後、町内預けの身の権三と助十は、勘太郎が無罪放免になったと聞いて青くなる。そこへ当の勘太郎が角樽を提げて礼に現れ、皮肉な口上を並べたうえ、飛びかかった与助の猿を絞め殺す。怒った長屋の者たちは勘太郎を袋叩きにして縛り上げ、役人が来たと聞いて駕籠に押し込む。ところが役人の石子伴作は勘太郎を召し捕りに来たのだった。大岡は勘太郎をいったん放して隠し目付に見張らせ、天井裏に隠していた血染めの財布を焼くところを押さえていた。権三と助十にはお褒めがあることになり、さらに表向き牢死とされていた彦兵衛も、実は大岡の計らいで生かされていた。彦三郎に手を引かれて戻った彦兵衛を、長屋の一同が喜んで取り囲む。

登場人物

冒頭部(原文より)

雲哲 やれ、やれ、暑いことだぞ。 願哲 まさか笠をかぶつて井戸がへにも出られず、この素頭をじり/\と照りつけられては、眼がくらみさうになる。 雲哲 まつたく今日の井戸がへは焦熱地獄だ。 おかん お前さん達もあたしのやうに手拭でつつんでゐれば好いぢやありませんか。 願哲 かういふ時には女は格別、男は鉢卷でないと何うも威勢がよくないからな。 助八 はゝ、笑はせるぜ。鉢卷をしたつて、すつとこ被りをしたつて、願人坊主の相場がどう上るものか。

「権三と助十」岡本綺堂(青空文庫)

末尾部(原文より)

彦三郎 みなさん。御安心ください。父はこの通りでござります。 六郎 今はまつ晝間だ。幽靈ではないからよく見なさい。 彦兵衞 みなさん有難うございます。 一同 おゝ、彦兵衞さんだ、彦兵衞さんだ。 (一同はよろこんで彦兵衞のまはりに駈けあつまる。) ――幕――

「権三と助十」岡本綺堂(青空文庫)

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