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評釈勘忍記(山本周五郎)のあらすじ・登場人物

勘忍袋が破れた喧嘩早い甥

  • 歴史
  • 風刺

山本周五郎 1947年(昭和22年)12月 「新読物」

文字数
17,718字
読了目安
約35分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

山本周五郎が1947年(昭和22年)、「新読物」に発表した時代喜劇。喧嘩早い若者・庄司千蔵が、隠居する伯父・駒田紋太夫に、これまでの喧嘩のいきさつを語る。「勘忍袋」がとうとう破れてしまうまでを、軽妙な語りで描いた、笑いに満ちた一編である。

あらすじ

癇癖が強く理屈好きの老人・駒田紋太夫は、酒がはいると人情家になる。多年の念願だった隠居の許しが下り、数日うちに別宅へ移るというその日、甥の庄司千蔵にとっては、伯父に会う又とない好機だった。小さい頃から、伯父が江戸に来るたびに癇癪を起こさせて面白がっていた千蔵——厠の窓から西瓜を投げ入れたり、寝込みに水をかぶる仕掛けを拵えたり。今日も小言は覚悟のうえだったが、隠居を前にした伯父は、どこか温厚になっていた。「どうしておまえはこう喧嘩ばかりするんだ」と問う伯父に、千蔵は、温厚篤実なはずの仁宅多二郎を殴ったいきさつを、景気よく語りだす。床の間に女の木偶を飾っていたのが気に入らず庭へ抛りだした——という調子で、次々と喧嘩の顛末が「評釈」されていく。そしてついに千蔵は言う。「勘忍袋ですよ、とうとうやぶけちまいましたし私にはもう用がありません、きれいさっぱりお返しします」。そのうえで「十一月には祝言をやっつけますから」と、しゃあしゃあと叩頭するのだった。喧嘩早い若者の勘忍袋が破れるまでを、笑いたっぷりに描いた、山本の時代喜劇である。

登場人物

冒頭部(原文より)

 駒田紋太夫は癇癖の強い理屈好きな老人であるが、酒がはいってるときはものわかりのよい人情家になる。そのときも程よく酔っていた。そのうえ多年の念願だった隠居の許しが下って、数日うちに城北いなり山の別宅に夫婦だけで移ることになり、すでに荷物も送り出したという状態で、甥の庄司千蔵にとっては又とない面会の好機だった。

「評釈勘忍記」山本周五郎(青空文庫)

末尾部(原文より)

「返し物とはなんだ」 「勘忍袋ですよ、とうとうやぶけちまいましたし私にはもう用がありません、きれいさっぱりお返しします」 「――、――」 「そして十一月には祝言をやっつけますから」彼はこういって叩頭した、「伯母上によろしく」

「評釈勘忍記」山本周五郎(青空文庫)

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