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古千屋(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

首実検と女の狂乱

  • 歴史
  • 怪奇

芥川龍之介 1927年(昭和2年)6月 「サンデー毎日」

文字数
2,884字
読了目安
約6分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 京都府

この作品について

芥川竜之介の晩年の短編。大坂夏の陣の前哨戦、樫井の戦いで討ち死にした塙団右衛門の首をめぐり、徳川家康の判断と、井伊直孝の陣屋に仕える女古千屋の狂乱が描かれる。短い場面で人物の駆け引きを見せる作品。

あらすじ

元和元年四月、大坂方の塙団右衛門は樫井の戦いで討ち死にし、浅野長晟の使者がその首を徳川家康に献上する。家康は首の実検を求めるが、本多正純は、暑さで首が傷んでいるとして断る。その夜、井伊直孝の陣屋に仕える古千屋が突然狂い、塙団右衛門の霊が乗り移ったように、大御所の実検に具わらぬのかと叫び出す。家康は夜、直之の首を実検する。首は赤銅色を帯び、大きな目を見開いていた。家康は直孝に、その女の素姓を調べるよう命じる。古千屋は、広島の生まれで、塙とのあいだに子を一人もうけていたと打ち明ける。直孝が上を欺いた罪を問おうとすると、家康は「いや、おれは欺かれはせぬ」と答える。

登場人物

冒頭部(原文より)

 樫井の戦いのあったのは元和元年四月二十九日だった。大阪勢の中でも名を知られた塙団右衛門直之、淡輪六郎兵衛重政等はいずれもこの戦いのために打ち死した。殊に塙団右衛門直之は金の御幣の指し物に十文字の槍をふりかざし、槍の柄の折れるまで戦った後、樫井の町の中に打ち死した。

「古千屋」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

「わたくしの一存にとり計らいましても、よろしいものでございましょうか?」 「うむ、上を欺いた……」  それは実際直孝には疑う余地などのないことだった。しかし家康はいつの間にか人一倍大きい目をしたまま、何か敵勢にでも向い合ったようにこう堂々と返事をした。―― 「いや、おれは欺かれはせぬ。」

「古千屋」芥川龍之介(青空文庫)

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