黄金餅(三遊亭円朝)のあらすじ・登場人物
餅にくるんで呑みこんだ金の行方
- 風刺
- 文字数
- 4,878字
- 読了目安
- 約10分
- 表記
- 新字旧仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 東京都
この作品について
貧乏長屋の隣人が死にぎわに金を呑みこんだのを見た金兵衛が、その死骸を担いで焼き場まで運んでゆく——落語の大ネタとして知られる噺の速記。人の欲を突き放して笑い飛ばす徹底したブラックさと、下谷から麻布までの町名をひと息に読み上げる「道中付け」の名調子で名高い一席である。
あらすじ
芝の金杉橋のたもとに「黄金餅」という餅屋ができて大層流行った——その由来を語る一席である。将監殿橋のきわの貧乏長屋に、金山寺屋の金兵衛と、托鉢坊主の西念が隣り合って住んでいた。西念が煩っていると聞いた金兵衛が見舞いに行くと、六十四の年寄りは「もう死病だろう」と言いながら、大福餅を三十ばかり買ってきてほしいと頼む。しかも「子供の時分から人の見ている前では物が食えない性分だ」と言って、金兵衛を追い帰そうとする。不審に思った金兵衛が壁の穴からのぞくと、西念は餅の餡をほじり出し、貯めこんだ二分金をその中に詰めて、次々に呑みこんでいるではないか。やがて西念は苦しみだして息絶えてしまう。金兵衛は長屋の連中をたきつけて、坊主も呼ばずに死骸を焼き場へ運ぶことにした。下谷から上野、本郷、麻布へと町名を息もつかずに読み上げる道中を経て、桐ヶ谷の焼き場に着く。金兵衛は「生焼けにしてくれ」と頼みこみ、翌朝まだ暗いうちに骨揚げにやってきた。穏坊を追いはらい、箸で灰を掻き分けて腹のあたりの塊を突き割ると、中から色も変わらぬ山吹色の小判が出てくる。両袖に入れて駆け出した金兵衛は、その金で芝金杉橋のたもとに餅屋を出し、大層繁昌したという一席である。
登場人物
- 金兵衛 金山寺屋の男。死骸を運んで金を手に入れる
- 源八(西念) 金を餅にくるんで呑みこんだ托鉢坊主
- 穏坊 焼き場の下働き
冒頭部(原文より)
ずツと昔時芝の金杉橋の際へ黄金餅と云ふ餅屋が出来まして、一時大層流行たものださうでござります。何ういふ訳で黄金餅と名けたかと申すに、芝将監殿橋の際に極貧の者ばかりが住で居る裏家がござりまして金山寺屋の金兵衛と申す者の隣家に居るのが托鉢に出る坊さんで源八と申す者、近頃何う致したのか煩つて寝て居るから見舞てやらうと金兵衛が出て参り
「黄金餅」三遊亭円朝(青空文庫)
末尾部(原文より)
箸で段々灰を掻いて行くと腹の辺に塊があつたから木と竹の箸でヅンと突割ると中から色も変らず山吹色の古金が出るから、慌てゝ両方の袂へ入れながら。金「穏坊の畜生、此方へ這入て来やアがると肯ねえぞ、無闇に這入やアがるとオンボウ焼いて押付けるぞ。と悪体をつきながら穏坊の袖の下を掻潜つてスーツと駈出して行きました。 金兵衛さんは此金子を以て、芝金杉橋の本へ、黄金餅と云ふ餅屋を出したのが、大層繁昌いたした。と云ふ一席話でござります。
「黄金餅」三遊亭円朝(青空文庫)
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