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梟雄(坂口安吾)のあらすじ・登場人物

悪党と呼ばれた男の死にざま

  • 歴史

坂口安吾 1953年(昭和28年)6月 「文藝春秋」

文字数
15,160字
読了目安
約30分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 岐阜県

この作品について

1953年(昭和28年)、「文藝春秋」に発表された坂口安吾の歴史小説。「梟雄」とは猛々しく悪賢い英雄のこと。京の貧しい武士の子から僧、油売りを経て美濃一国を奪った斎藤道三の生涯を、安吾らしい皮肉と口語まじりの勢いのある文体で語る。織田信長との対面や、長良川の最期もたどり、道三の最後には「悪党の死にっぷり」が描かれる。

あらすじ

京の西の岡に住む貧しい北面の武士・松波基宗の子、峯丸は並外れて聡明で、仏門に入れられて法蓮房と名乗る。弁舌と才智は群を抜いたが、美濃の名門・長井家の弟で同門の南陽房が出世の後ろ盾を得て重んじられるにつれ、法蓮房は日陰に追われる。彼は寺を出て一文銭の油売りとなり、諸国を歩いて世の仕組みを見きわめ、やがて美濃で武士に仕える。主家や縁者を乗っ取るようにして長井、さらに斎藤の名と所領を手に入れ、守護の土岐氏を追放して美濃一国を握った。斎藤山城入道道三と呼ばれた彼は、年老いても近隣の恐怖であり続ける。尾張の織田信秀を大敗させるが、信秀の願いを容れて娘の濃姫を嫡男・信長に嫁がせる。正徳寺での会見で、噂のバカ小僧の奇矯な姿の奥に、並の器でないものを道三は見抜く。ところが、追放した土岐頼芸の子を宿したまま生まれた長男・義龍が、父を憎んで兵を挙げた。長良川の戦いに臨んだ道三は、援軍の信長を近寄らせず、わずかな親兵だけを連れて河原の最前線に床几を据え、悪党の死にざまを見せると笑って敵を待った。

登場人物

冒頭部(原文より)

京の西の岡というところに、松波基宗という北面の武士が住んでいた。乱世のことであるから官給は至って不充分で、泥棒でもしなければ生活が立たないように貧乏である。  子供も何人かあるうちで、十一になる峯丸というのが絵の中からぬけでたように美しいばかりでなく、生れつきの発明、非凡の才智を備えていた。  才あって門地のない者が、その才にしたがい確実に立身する道は仏門に入ることである。

「梟雄」坂口安吾(青空文庫)

末尾部(原文より)

道三はヨロイ、カブトの上に矢留めのホロをかぶって、河原の一番前に床几をださせてドッカと腰かけた。  敵の先陣は竹腰道塵兵六百。河を渡って斬りかかったが、敵方に斬り負け、道三は道塵を斬りすてて、血刀ふりさげて床几に腰かけ、ホロをゆすって笑った。  つづいて敵の本隊が河を渡ってウンカのように突撃し、黒雲のような敵の中で道三はズタズタに斬られていた。

「梟雄」坂口安吾(青空文庫)

原文を読む

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