街はふるさと(坂口安吾)のあらすじ・登場人物
戦後の街に集う人々
- 心理
- 恋愛
- 文字数
- 193,435字
- 読了目安
- 約6時間27分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 東京都
この作品について
1950年5月から10月まで読売新聞に連載された長編。熱海の宿に始まり、作家の大庭長平とその部下の青年・北川放二を軸に、長平に一方的な思いを寄せる旧友の妻、事業と金に追われる旧友、アパートに身を寄せ合う街の女たちが行き交う。敗戦後の東京を背景に、愛情や金、孤独を、癖のある長い会話で描く。
あらすじ
作家の大庭長平は、京都から上京するたび熱海の宿に泊まり、自分の肝いりで作られた雑誌社の青年記者・北川放二と姪の記代子を従える。拾われた棄て子で、貴公子のような気品をもつ放二は、街の女たちが出入りするアパートに住み、破れた靴下をはいている。長平のもとには旧友の青木音次郎と、その別居中の妻・礼子が金と恋をめぐる厄介な話を持ちこみ、長平は放二を同席させて茶番の幕を引こうとする。やがて記代子が妊娠して行方を絶ち、放二は社長の梶せつ子の命で行方を捜す。記代子はエンゼルという若い男の家で暮らしていることがわかり、のち入院する騒ぎになる。そのあいだに放二は重い病に倒れ、街の娘ルミ子に看取られて世を去る。放二を追ってルミ子も自ら命を絶ち、長平と青木は二人を並べて墓に埋める。京都に戻った記代子は、新しい風のなかで暮らしを立て直そうとする。
登場人物
- 大庭長平 作家。京都に住み、上京のたびに熱海の宿に泊まる
- 北川放二 長平の担当記者。棄て子として育った清廉な青年
- 記代子 長平の姪。雑誌社に勤める
- 梶せつ子 雑誌社の女社長。放二が長く思いを寄せる
- 青木音次郎 長平の旧友。事業家で、立候補を考えている
- 礼子 青木の別居中の妻
- ルミ子 放二のアパートに出入りする街の娘
- エンゼル 記代子と暮らす若い男
冒頭部(原文より)
「ア。記代子さん」 熱海駅の改札口をでようとする人波にもまれながら、放二はすれちがう人々の中に記代子の姿をみとめて、小さな叫び声をのんだ。 記代子は、彼がみとめる先に、彼に気付いていたようだ。
「街はふるさと」坂口安吾(青空文庫)
末尾部(原文より)
青木は墓地をでるとたんに、ニッコリ立ち止って握手をもとめ、強く長平の手を握りしめた。 「殺していいか、抱きついていいか、分りゃしねえや。オレは、長さんが、心から、なつかしいよ。ともかく、生きているからね」 青木の目にこもった微笑は、素直で、善良であった。
「街はふるさと」坂口安吾(青空文庫)
原文を読む
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