魔法修行者(幸田露伴)のあらすじ・登場人物
魔法に凝った男と悟った男
- 歴史
- 文字数
- 16,092字
- 読了目安
- 約32分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
幸田露伴が1928年(昭和3年)ごろに書いた随筆風の史伝。日本の魔法の歴史を役の小角や久米の仙人から説き起こし、荼枳尼天を本尊とする「飯綱の法」を修めた二人の人物を取り上げる。魔法修行に凝って家中を乱し、湯浴みの最中に暗殺された管領・細川政元と、同じ飯綱の法を極めながら源氏物語を六十年読んで庭に唐松を植える関白・九条植通。対照的な二つの生涯を、露伴一流の博識と諧謔で語る。
あらすじ
魔法とはおかしな言葉だが、どの国にも古くから人の心にあったと露伴は語り起こす。魔方陣などを例に世界の魔法の広さに触れたあと、日本の魔法の歴史を、まじないの起こり、役の小角、泰澄、久米の仙人、平安の貴族社会、真言・天台の修法へとたどり、なかでも荼枳尼天(飯綱)の法に至る。そして魔法修行のアマチュアの第一の標本として、応仁の乱の細川勝元の子・細川政元を挙げる。愛宕権現に願をかけて生まれた政元は、女人を遠ざけて飯綱の法に打ち込み、空中に立つほどになったが、養子問題をめぐる家臣の争いから、永正4年6月23日、湯浴みのさなかに右筆に斬りつけられて落命し、細川家は乱れる。もう一人は、同じ法を修めた関白・九条植通である。信長や秀吉にも臆せず、連歌師の紹巴を言い負かし、晩年は東福寺門前の藪の中の坊で源氏物語を読んで暮らした。弟子の貞徳が訪ねると、唐松の実生を手ずから植えており、二人は歌を詠み交わす。
登場人物
- 細川政元 管領。愛宕の飯綱の法に凝り、女人を遠ざけて修行したが、家臣の争いの中で暗殺される
- 九条植通(玖山公) 関白。飯綱の法を成就し、源氏物語を愛読して東福寺門前に閑居した。信長・秀吉にも屈しない気骨を持つ
- 長頭丸(松永貞徳) 植通を訪ね教えを受ける弟子。唐松を植える植通と歌を交わす
冒頭部(原文より)
魔法。 魔法とは、まあ何という笑わしい言葉であろう。 しかし如何なる国の何時の代にも、魔法というようなことは人の心の中に存在した。そしてあるいは今でも存在しているかも知れない。
「魔法修行者」幸田露伴(青空文庫)
末尾部(原文より)
その器その徳その才があるのでなければどうすることも出来ない乱世に生れ合せた人の、八十ごろの齢で唐松の実生を植えているところ、日のもとの歌には堕涙の音が聞える。飯綱修法成就の人もまた好いではないか。
「魔法修行者」幸田露伴(青空文庫)
原文を読む
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