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水鳥亭(坂口安吾)のあらすじ・登場人物

一匹のイワシと鶏小屋

  • 心理
  • 社会

坂口安吾 1950年(昭和25年)3月 「別冊文藝春秋」

文字数
30,708字
読了目安
約1時間1分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 静岡県

この作品について

1950年3月『別冊文藝春秋』に載った短編。戦争中の工場の会計係が、日曜ごとに社長が伊東の別荘から届けるイワシや卵に涙して感謝し、妻と娘に嘲られる。空襲、終戦と進む日々のなかで、食うこと、所有することにとらわれた人間の滑稽と哀しさを、皮肉な会話で描く。

あらすじ

小学校教員だった梅村亮作は、成金の社長・野口に拾われて会計係になり、日曜の夜に野口が伊東の別荘から届けるイワシや卵を老いの目に涙して受け取るが、妻の信子と女子大生の娘・克子は、それを恩着せがましいと嘲る。亮作は検定試験に挑み続けて世間の信用を失った男で、妻子は裕福な大伯母のもとへ荷物を疎開させ、二千冊の蔵書をもつ亮作は野口に頼んで別荘の鶏小屋に本を預けようとして断られる。三月の空襲で家も本も焼かれた亮作は、野口に縋って伊東の鶏小屋に住みつき、やがて敵の上陸が噂されると、疎開を急ぐ野口から別荘と畑と温泉をほとんど全財産で買い取る。終戦後も家と畑が残り、亮作は怪力の留守番女・金時と暮らして、竹の表札「水鳥亭山月」を掲げる。ところが、洞穴に住みついた乞食の元中学教師が、その表札を呟きながら通り過ぎたのをきっかけに、亮作の心は崩れていく。

登場人物

冒頭部(原文より)

 日曜の夜になると、梅村亮作の女房信子はさッさとフトンをかぶって、ねてしもう。娘の克子もそれにならって、フトンをひっかぶって、ねるのであった。

「水鳥亭」坂口安吾(青空文庫)

末尾部(原文より)

けれども、門前へまわって表札を見ると、いたましくて、とても取り去ることができなかった。いくどか思い直したが、また、ためらって、どうしても外せなかった。  翌朝、表札を外す代りに、彼自身が鶏小屋の横手で首をくくって死んでいる姿が発見された。

「水鳥亭」坂口安吾(青空文庫)

原文を読む

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