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村のひと騒ぎ(坂口安吾)のあらすじ・登場人物

婚礼と通夜の板ばさみ

  • 風刺

坂口安吾 1932年(昭和7年)10月 「三田文学」

文字数
10,514字
読了目安
約21分
表記
新字旧仮名
種別
小説

この作品について

1932年10月『三田文学』に載った初期の短編。婚礼の朝に隠居が死んだ山村で、二軒しかない豪家の祝宴と通夜のどちらにも顔を出したい村人たちが右往左往する。語り手が読者に呼びかけながら茶化して語る、誇張だらけの笑劇である。

あらすじ

ある山村の二軒きりの豪家のうち、寒川家の婚礼の朝に、寒原家の隠居の女が死ぬ。村人は婚礼の祝い酒と通夜の振る舞い、どちらに行くかの板ばさみになる。気の弱い当主の半左右衛門は喪の知らせを一日遅らせようとして女房に叱られ、通夜に回されそうな森林寺の坊主は小僧に主僧役を押しつけて婚礼へ向かう。村人は学校の雨天体操場に集まり、校長は大演説をするが名案を出せず、青年訓導の男女分担案は女教員の争いになる。そこへ医者が「医学によれば亡者は一日だけ生き返った」と宣言し、通夜は明日に延期される。半左右衛門はいったん喜ぶが、祝い酒を求められて一樽を振る舞う羽目になり、その夜、得意の手踊を披露する。語り手は後日この話を聞いて感激し、山奥の村を訪ねたが、そこは退屈な村だった。

登場人物

冒頭部(原文より)

 その村に二軒の由緒正しい豪家があつた。生憎二軒も――いや、二軒しか、なかつたのだ。ところが、寒川家の婚礼といふ朝、寒原家の女隠居が、永眠した。

「村のひと騒ぎ」坂口安吾(青空文庫)

末尾部(原文より)

断じて! 断々乎として! あれは確かに本当の出来事だ! 私達の慎しみ深い心の袋、つまりは、罪障深い良心と呼ばれるものに訊き合はしても、――いや、これは失礼! 私自身の悪徳を神聖な諸兄に強ひたことは大変私の間違ひであつたが。で、とにかく、私は異常に落胆して私の古巣へ帰つたのだが。それ以来といふものは、あれとこれと、どちらが本当の人生であるかといふに、頭の悪い私には未だにとんと見当がつかないでゐる。ああ。

「村のひと騒ぎ」坂口安吾(青空文庫)

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