長崎小品(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物
戸棚の中の南蛮たちの恋
- 幻想
- 風刺
- 文字数
- 2,571字
- 読了目安
- 約5分
- 表記
- 新字旧仮名
- 舞台
- 長崎県
この作品について
長崎の南蛮・紅毛趣味を題材に、芥川竜之介が戯曲の形で書いた小品。ガラス戸棚の中の蒐集品が、人間のように話し合う。伊万里の甲比丹、小柄の伴天連、麻利耶観音など、切支丹や長崎絵にちなむ品々が登場する。
あらすじ
初夏の午後、ガラス戸棚の中で、司馬江漢筆の蘭人が悲しげに歎息する。鸚鵡が、蘭人は阿蘭陀出来の皿に描かれた女に恋をしていると明かす。古伊万里の甲比丹や小柄の伴天連、麻利耶観音らが取りなしを試みる。しかし皿の女は、日本出来の相手など虫が好かないと、きっぱり拒む。亀山焼の南蛮女が代わりに世話をすると言い出したところへ、この家の主人が客を連れて戸棚の前に現れる。客は、皿の女の絵が濡れていることに気づき、悪口を言われて泣いたのかと冗談を言う。さらに、基督や麻利耶観音が笑ったような気がして、一同は戸棚の前を去る。
登場人物
- 司馬江漢筆の蘭人 皿の女に恋をする
- 阿蘭陀出来の皿の女 蘭人を拒む
- 古伊万里の甲比丹 蘭人を励ます
- 鸚鵡 恋の相手を明かす
- 亀山焼の南蛮女 蘭人に同情する
冒頭部(原文より)
薄暗き硝子戸棚の中。絵画、陶器、唐皮、更緲、牙彫、鋳金等種々の異国関係史料、処狭きまでに置き並べたるを見る。初夏の午後。遙にちやるめらの音聞ゆ。
「長崎小品」芥川龍之介(青空文庫)
末尾部(原文より)
客の他の一人、何だかあの基督が笑つたやうな気がしたのです。 客の一人、わたしは麻利耶観音が笑つたやうに見えた。 主人、気のせゐでせう。 主客静かに硝子戸棚の前を去る。再びかすかにちやるめらの音。
「長崎小品」芥川龍之介(青空文庫)
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