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年末の一日(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

漱石の墓を探した年の暮

  • 心理

芥川龍之介 1926年(昭和元年)1月 「新潮」

文字数
2,979字
読了目安
約6分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

新年号の仕事を終えた「僕」が、新聞記者のK君と夏目漱石の墓参りをした、年の暮れの一日を綴る身辺小説。「新潮」の新年号に載った。

あらすじ

新年号の仕事を終えて寝床を離れた「僕」は、昼過ぎに訪れた新聞記者のK君に誘われ、雑司ヶ谷にある夏目先生の墓へ出かける。電車の中では、電球が落ちて割れる出来事に居合わせる。墓地に着いたものの、墓がなかなか見つからず、僕はいら立ちと侘しさを覚える。墓掃除の女に道を聞いて、やっと墓の前へたどり着く。僕は帰りの電車でK君と別れ、夕暮れの動坂で、坂を上る箱車を見て、後ろから押してやる。

登場人物

冒頭部(原文より)

 ………僕は何でも雑木の生えた、寂しい崖の上を歩いて行った。崖の下はすぐに沼になっていた。その又沼の岸寄りには水鳥が二羽泳いでいた。どちらも薄い苔の生えた石の色に近い水鳥だった。僕は格別その水鳥に珍しい感じは持たなかった。が、余り翼などの鮮かに見えるのは無気味だった。――

「年末の一日」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

 すると墓地裏の八幡坂の下に箱車を引いた男が一人、楫棒に手をかけて休んでいた。箱車はちょっと眺めた所、肉屋の車に近いものだった。が、側へ寄って見ると、横に広いあと口に東京胞衣会社と書いたものだった。僕は後から声をかけた後、ぐんぐんその車を押してやった。それは多少押してやるのに穢い気もしたのに違いなかった。しかし力を出すだけでも助かる気もしたのに違いなかった。  北風は長い坂の上から時々まっ直に吹き下ろして来た。墓地の樹木もその度にさあっと葉の落ちた梢を鳴らした。僕はこう言う薄暗がりの中に妙な興奮を感じながら、まるで僕自身と闘うように一心に箱車を押しつづけて行った。………

「年末の一日」芥川龍之介(青空文庫)

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