おぎん(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物
切支丹の少女おぎんの物語
- 歴史
- 心理
- 文字数
- 5,236字
- 読了目安
- 約10分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 長崎県
この作品について
芥川の切支丹物の一編。1922年(大正11)9月、『中央公論』に発表された。長崎・浦上の村の貧しい切支丹の家で育てられた少女おぎんが、養父母とともに役人に捕らえられるまでの経緯と、彼女の信仰のあり方を語る。殉教の物語として語られがちな題材に、芥川は醒めたまなざしを向ける。同じ切支丹物の「奉教人の死」と対照して読まれる作品である。
あらすじ
元和・寛永のころ、切支丹への迫害が激しい長崎の浦上山里村に、おぎんという娘が住んでいた。大阪から流れて来て、天主の教えを知らぬまま亡くなった両親のあと、おぎんは信心深い農夫じょあん孫七の夫婦に引き取られ、洗礼を受けて敬虔な信者に育つ。やがて一家は切支丹であることが露見し、孫七・お杉・おぎんの三人はそろって火刑に処せられることになる。刑場で、孫七夫婦は喜んで殉教しようとするが、おぎんだけは磔柱を前に泣き崩れる。彼女の胸をよぎったのは、異教徒のまま死に、地獄に落ちたはずの、松の木の下に眠る父母のことだった。天国へ行けば二人には二度と会えない——そう思うと、おぎんはどうしても信仰を貫けず、「わたしは、転びます」と告げる。それを聞いた養父母もまた、おぎんを追って信仰を捨ててしまう。三人は生きながらえたが、この背教は後代まで、最も恥ずべき躓きとして語り伝えられたのだった。
登場人物
- おぎん 浦上の村で育てられた切支丹の少女。火刑を前に、異教のまま死んだ父母への情から棄教する
- じょあん孫七 おぎんを引き取り洗礼を授けた信心深い農夫。おぎんに続いて信仰を捨てる
- お杉 孫七の妻。おぎんの養母
冒頭部(原文より)
元和か、寛永か、とにかく遠い昔である。天主のおん教を奉ずるものは、その頃でももう見つかり次第、火炙りや磔に遇わされていた。
「おぎん」芥川龍之介(青空文庫)
末尾部(原文より)
孫七はとうとう堕落した。この話は我国に多かった奉教人の受難の中でも、最も恥ずべき躓きとして、後代に伝えられた物語である。
「おぎん」芥川龍之介(青空文庫)
原文を読む
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