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温泉だより(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

温泉町の大男の昔話

  • 心理
  • 風刺

芥川龍之介 1925年(大正14年)6月 「女性」

文字数
6,096字
読了目安
約12分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

温泉宿に滞在する「わたし」が、報告の形で書き綴る小説。地名や人名を「お」の字町、「な」の字さんのように頭文字でぼかし、作者註まで挟みながら、土地の大工の風変わりな一生を語る。滑稽さのなかに哀しみがにじむ、実話風の語りが特徴。

あらすじ

温泉宿にひと月ほど滞在している「わたし」は、宿で聞いた小説じみた実話を報告する。明治三十年代、この町に身の丈六尺五寸の大工、萩野半之丞がいた。人のよい大男の半之丞は、死後の解剖を許す約束で病院に体を売り、三百円を受け取ると、達磨茶屋「青ペン」のお松に入れあげて、たちまち使い果たしてしまう。やがて半之丞は、お松に宛てた遺書を残し、共同風呂「独鈷の湯」に一晩沈んで心臓麻痺で死んだ。体に傷をつけて解剖用の価値を損ねまいとした、風変わりな自殺だったという。お松は半之丞の子を産んだあと酒屋に嫁ぎ、看病疲れで世を去った。散歩の途中、郵便局の窓越しに見かけた小倉服の青年が半之丞の子だと聞き、感心した「わたし」たちに、宿の主人は、あいつも「青ペン」通いばかりしていると薄笑いを浮かべた。

登場人物

冒頭部(原文より)

 ……わたしはこの温泉宿にもう一月ばかり滞在しています。が、肝腎の「風景」はまだ一枚も仕上げません。まず湯にはいったり、講談本を読んだり、狭い町を散歩したり、――そんなことを繰り返して暮らしているのです。我ながらだらしのないのには呆れますが。

「温泉だより」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

「あいつももう仕かたがないのですよ。『青ペン』通いばかりしているのですから。」  我々はそれから「き」の字橋まで口をきかずに歩いて行きました。……

「温泉だより」芥川龍之介(青空文庫)

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