路上(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物
冷めた学生と春の恋
- 青春
- 恋愛
- 文字数
- 43,485字
- 読了目安
- 約1時間27分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 東京都
この作品について
東京の大学に通う英文科の学生、安田俊助を主人公にした新聞連載小説。友人の野村、その従妹の初子と辰子、放蕩者の大井、文芸同人『城』の面々と、春の東京で出会う人々が描かれる。「前篇を終る」の注記で結ばれ、予告された後篇は書かれないまま、未完の作品として残った。
あらすじ
文科の学生安田俊助は、世間への信を失った傍観者を自任している。図書館で放蕩者の大井篤夫と会い、友人の野村と会い、芸術を標榜する同人誌『城』の音楽会へ出かけた彼は、会場で野村の従妹の初子と、さらにその従妹の辰子に引き合わされ、辰子の憂鬱なまなざしに心を乱される。数日後、電車で辰子と偶然に再会し、親しさを覚える。野村が帰郷するあいだ、頼まれて初子と辰子を、精神病院に勤める友人の新田のもとへ案内する。病室を見て回りながら、初子は好奇心を隠さず、辰子は患者を気の毒がり、俊助は不快に感じる。その夜、珈琲店で大井から、嫌いになった女と別れるために芝居を打ったのだと打ち明けられ、下宿に帰った俊助は、野村の純粋な愛と大井の愛のどちらが本当なのか、自分の辰子への愛はどうかと考えこむ。「後篇は他日を期する」の一行で、物語は閉じられる。
登場人物
- 安田俊助 英文科の学生。傍観者の気質で、世間に飛びこめない
- 野村 俊助の高等学校以来の友人。哲学を専攻する
- 初子 野村が思いを寄せる栗原家の娘。小説を書いている
- 辰子 初子の従妹。絵を学ぶため上京した
- 大井篤夫 粗野で皮肉屋の大学生
- 藤沢 『城』同人の中心。仏文科の学生
- 新田 精神病院に勤める医学士。俊助の先輩
冒頭部(原文より)
午砲を打つと同時に、ほとんど人影の見えなくなった大学の図書館は、三十分経つか経たない内に、もうどこの机を見ても、荒方は閲覧人で埋まってしまった。 机に向っているのは大抵大学生で、中には年輩の袴羽織や背広も、二三人は交っていたらしい。それが広い空間を規則正しく塞いだ向うには、壁に嵌めこんだ時計の下に、うす暗い書庫の入口が見えた。
「路上」芥川龍之介(青空文庫)
末尾部(原文より)
それとも両方がそれぞれの意味で、やはり為のない愛だろうか。そうして彼自身の辰子に対する愛は? 俊助は青い蓋をかけた卓上電燈の光の下に、野村の手紙と大井の小説とを並べたまま、しばらくは両腕を胸に組んで、じっと西洋机の前へ坐っていた。
「路上」芥川龍之介(青空文庫)
原文を読む
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