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青年(森鴎外)のあらすじ・登場人物

上京した青年が見た、明治末の東京

  • 青春
  • 恋愛

森鴎外 1910年(明治43年)3月 「昴」

文字数
123,593字
読了目安
約4時間7分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都
  • 神奈川県

この作品について

作家を志して上京した青年・小泉純一が、東京の文学青年たちと交わり、年上の未亡人に惹かれながら、自らの生き方を模索してゆく長編。夏目漱石の「三四郎」に触発されて書かれたといわれ、明治末の思想と文学の空気を丸ごと写しとった、森鴎外の代表的な長編小説である。

あらすじ

小泉純一は、小説家を志してN県から上京した二十一歳の青年である。東京方眼図を片手に本郷の下宿を訪ね、旧知の大石狷太郎を頼って東京での生活を始めた。純一が身を置くのは、自然主義の是非やイプセン、ニーチェ、ベルクソンが盛んに論じられる明治末の文学青年たちの世界である。文壇の大御所である平田拊石(漱石を思わせる人物)の講演を聴き、大村荘之助という思索的な先輩と語り、劇場や展覧会に足を運び、日記に思索を書きつける日々。そのなかで純一は、坂井れい子という美しい未亡人と出会う。年上のこの女性に強く惹かれながらも、純一は彼女の奔放さと、そこに含まれる打算に戸惑いつづける。同郷の娘お雪との縁談、下宿の女中お絹の淡い好意もからみ、彼の心は定まらない。やがて箱根の温泉宿で、純一は坂井夫人と再び行き会う。一夜の出来事を経て、彼は自分が求めていたものが何だったのかを見つめ直し、真に書くべきものへ向かおうと決意する。元日の朝、晴れた空の下、湯坂山に靄のかかる道を車で下ってゆく——「小説『青年』は一応これで終とする」。鴎外は末尾にそう書き添え、書こうと企てたことの一小部分しか書いていないと断って、この長編を閉じている。

登場人物

冒頭部(原文より)

壱  小泉純一は芝日蔭町の宿屋を出て、東京方眼図を片手に人にうるさく問うて、新橋停留場から上野行の電車に乗った。目まぐろしい須田町の乗換も無事に済んだ。さて本郷三丁目で電車を降りて、追分から高等学校に附いて右に曲がって、根津権現の表坂上にある袖浦館という下宿屋の前に到着したのは、十月二十何日かの午前八時であった。

「青年」森鴎外(青空文庫)

末尾部(原文より)

 鴎外云。小説「青年」は一応これで終とする。書こうと企てた事の一小部分しかまだ書かず、物語の上の日数が六七十日になったに過ぎない。霜が降り始める頃の事を発端に書いてから、やっと雪もろくに降らない冬の時候まで漕ぎ附けたのである。それだけの事を書いているうちに、いつの間にか二年立った。とにかく一応これで終とする。

「青年」森鴎外(青空文庫)

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