ロマネスク(太宰治)のあらすじ・登場人物
極端に生きた三人の男の一代記
- 風刺
- 幻想
- 文字数
- 18,725字
- 読了目安
- 約37分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
太宰治が1934年(昭和9年)、同人誌『青い花』の創刊号に発表した初期の作品。のちに処女創作集『晩年』に収められた。「仙術太郎」「喧嘩次郎兵衛」「嘘の三郎」という三人の男を主人公に、講談や昔話を思わせる軽妙な語り口で、それぞれ一つの性分を極端に突きつめた生き方を描く三部構成。饒舌でユーモラスな文体のなかに、太宰一流の自己戯画とロマンチシズムがにじむ。
あらすじ
津軽の庄屋の子に生まれた太郎は、生まれつきものぐさで、やがて仙術の書物に夢中になり、仙人になろうと山にこもって修行に明け暮れる「仙術太郎」。腕自慢のあまり喧嘩ばかりを求めて諸国を渡り歩く「喧嘩次郎兵衛」。そして、嘘をつくことにかけては天才的で、ついには嘘のない生き方を求めて苦しむ「嘘の三郎」。三人はそれぞれに一つの性分を極端まで推しつめた末、みな行きづまってしまう。やがて江戸の場末の居酒屋で、この三人がふとした縁から朝より酒を酌み交わすことになる。嘘の三郎が「私たちは芸術家だ」と大嘘をぶち上げ、三人の意気が天をつくところで物語は幕を閉じる。太宰は、この三つの戯画に自らの姿を重ねている。
登場人物
- 仙術太郎 仙人になろうと修行にふける、ものぐさな男
- 喧嘩次郎兵衛 けんかを求めて諸国を渡り歩く男
- 嘘の三郎 嘘の名人。嘘のない生き方に苦しむ男
冒頭部(原文より)
むかし津軽の国、神梛木村に鍬形惣助という庄屋がいた。四十九歳で、はじめて一子を得た。男の子であった。太郎と名づけた。生れるとすぐ大きいあくびをした。惣助はそのあくびの大きすぎるのを気に病み、祝辞を述べにやって来る親戚の者たちへ肩身のせまい思いをした。
「ロマネスク」太宰治(青空文庫)
末尾部(原文より)
私たちは芸術家だ。きょうここで逢ったからには、死ぬるとも離れるでない。いまにきっと私たちの天下が来るのだ。私は芸術家だ。王侯といえども恐れない。金銭もまたわれらに於いて木葉の如く軽い。
「ロマネスク」太宰治(青空文庫)
原文を読む
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