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ロマネスク(太宰治)のあらすじ・登場人物

極端に生きた三人の男の一代記

  • 風刺
  • 幻想

太宰治 1934年(昭和9年)11月 「青い花」

文字数
18,725字
読了目安
約37分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

太宰治が1934年(昭和9年)、同人誌『青い花』の創刊号に発表した初期の作品。のちに処女創作集『晩年』に収められた。「仙術太郎」「喧嘩次郎兵衛」「嘘の三郎」という三人の男を主人公に、講談や昔話を思わせる軽妙な語り口で、それぞれ一つの性分を極端に突きつめた生き方を描く三部構成。饒舌でユーモラスな文体のなかに、太宰一流の自己戯画とロマンチシズムがにじむ。

あらすじ

津軽の庄屋の子に生まれた太郎は、生まれつきものぐさで、やがて仙術の書物に夢中になり、仙人になろうと山にこもって修行に明け暮れる「仙術太郎」。腕自慢のあまり喧嘩ばかりを求めて諸国を渡り歩く「喧嘩次郎兵衛」。そして、嘘をつくことにかけては天才的で、ついには嘘のない生き方を求めて苦しむ「嘘の三郎」。三人はそれぞれに一つの性分を極端まで推しつめた末、みな行きづまってしまう。やがて江戸の場末の居酒屋で、この三人がふとした縁から朝より酒を酌み交わすことになる。嘘の三郎が「私たちは芸術家だ」と大嘘をぶち上げ、三人の意気が天をつくところで物語は幕を閉じる。太宰は、この三つの戯画に自らの姿を重ねている。

登場人物

冒頭部(原文より)

むかし津軽の国、神梛木村に鍬形惣助という庄屋がいた。四十九歳で、はじめて一子を得た。男の子であった。太郎と名づけた。生れるとすぐ大きいあくびをした。惣助はそのあくびの大きすぎるのを気に病み、祝辞を述べにやって来る親戚の者たちへ肩身のせまい思いをした。

「ロマネスク」太宰治(青空文庫)

末尾部(原文より)

私たちは芸術家だ。きょうここで逢ったからには、死ぬるとも離れるでない。いまにきっと私たちの天下が来るのだ。私は芸術家だ。王侯といえども恐れない。金銭もまたわれらに於いて木葉の如く軽い。

「ロマネスク」太宰治(青空文庫)

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