堺事件(森鴎外)のあらすじ・登場人物
維新直後の堺で起きた事件
- 歴史
- 文字数
- 16,958字
- 読了目安
- 約34分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 大阪府
この作品について
森鴎外の歴史小説(史伝)の一編。1914年(大正3)2月、『新小説』に発表された。慶応4年(1868)、明治維新直後の堺で実際に起きた「堺事件」を、史料にもとづき、簡潔で感情を抑えた筆致で再現する。堺に上陸したフランス水兵と土佐藩の警備兵との衝突に始まり、事件の責任をめぐる処断と、その場に臨む人々の姿を描く。「興津弥五右衛門の遺書」「阿部一族」と並ぶ、鴎外の歴史小説の代表作である。
あらすじ
明治元年(1868年)、鳥羽・伏見の戦いののち無政府状態に陥った堺の町は、土佐藩が警備を任されていた。二月十五日、上陸したフランスの水兵たちが市中を騒がせ、警備にあたった土佐藩兵との間に衝突が起こる。制止を聞かぬ水兵に土佐兵が発砲し、多数のフランス水兵が死傷する事態となった。事件はたちまち外交問題に発展し、フランス側の強硬な要求を受けた新政府は、発砲に関わった土佐藩士たちに切腹を申し渡す。妙国寺に集められた藩士たちは、隊長箕浦猪之吉以下、いささかの取り乱しもなく、むしろ誇りをもって死に臨む。一人また一人と割腹していくその凄絶な光景に、立ち会って首実検にあたっていたフランス側は戦慄し、ついに十一人が果てたところで、残りの者の助命を願い出て切腹は中止された。死を免れた者たちのその後のさまざまな運命までを、鴎外は感傷を交えぬ簡潔な筆致で淡々と書き留め、命じられるままに死んでいった武士たちの姿を、静かに後世へ伝えるのだった。
登場人物
- 箕浦猪之吉 フランス水兵との衝突で発砲を指揮した土佐藩の六番隊長。切腹を命じられ、従容として死に臨む
- 土佐藩士たち 堺の警備にあたり、事件の責を負って割腹を命じられた面々
冒頭部(原文より)
明治元年戊辰の歳正月、徳川慶喜の軍が伏見、鳥羽に敗れて、大阪城をも守ることが出来ず、海路を江戸へ遁れた跡で、大阪、兵庫、堺の諸役人は職を棄てて潜み匿れ、これ等の都会は一時無政府の状況に陥った。そこで大阪は薩摩、兵庫は長門、堺は土佐の三藩が、朝命によって取り締ることになった。
「堺事件」森鴎外(青空文庫)
末尾部(原文より)
西村は父清左衛門が早く亡くなって、祖父克平が生存していたので、家督を祖父に復せられた。後には親族筧氏から養子が来た。小頭以下兵卒の子は、幼少でも大抵兵卒に抱えられて、成長した上で勤務した。
「堺事件」森鴎外(青空文庫)
原文を読む
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