三十年後の世界(海野十三)のあらすじ・登場人物
眠りから覚めた少年の未来旅行
- SF
- 冒険
- 文字数
- 68,142字
- 読了目安
- 約2時間16分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
冷凍球に封じ込められて三十年後に目覚めた少年が、変わり果てた未来社会と宇宙探検を体験する、海野十三の少年向け未来小説。1948年(昭和23年)に「少年読売」に連載された。昭和五十二年の日本を舞台に、地下都市、海底都市、月・火星への宇宙旅行など、作者が思い描いた未来像が次々と語られる。戦後の平和への願いと、科学への期待が色濃く反映された一編である。
あらすじ
昭和五十二年の猛暑で、日本アルプスの万年雪がとけ、雪の下から奇妙な金属球が現れる。球の中には、三十年前に冷凍された少年・小杉正吉が眠っていた。目覚めた正吉は、地下に築かれた街、海底都市、人工心臓など、すっかり変わった世界に驚く。やがて彼は宇宙探検隊に加わり、月から火星へと旅立つ。そこで待ち受けていたのは、地球人類の行く末を考えさせる出来事の数々だった。
登場人物
- 小杉正吉 三十年間冷凍されて目覚めた少年。宇宙探検隊に加わる
- キンちゃん 正吉の友人。探検隊の食事係
- マルモ隊長 宇宙探検隊を率いる隊長
- カンノ博士 正吉を冷凍球から助けた生理学の権威
冒頭部(原文より)
万年雪とける 昭和五十二年の夏は、たいへん暑かった。 ことに七月二十四日から一週間の暑さときたら、まったく話にならないほどの暑さだった。 涼しいはずの信州や上越の山国地方においてさえ、夜は雨戸をあけていないと、ねむられないほどの暑くるしさだった。東京なんかでは、とても暑くて地上に出ていられなくて、都民はほとんどみな地下街に下りて、その一週間をくらしたほどだった。 ものすごい暑さは日本アルプスの深い山の中も別あつかいにはしなかった。アルプス山中の万年雪までがどんどんとけ出した。雪渓の上を、しぶきをあげて流れ下る滝とも川ともつかないものが出来、積雪はどんどんやせていった。
「三十年後の世界」海野十三(青空文庫)
末尾部(原文より)
「われわれ地球人類は、このさい急いで大宇宙探検計画をたて、一日も早くそして一人でも多くその探検に出発するのでなければ、やがて他の遊星生物のためにお先まわりをされてしまって、地球人類の発展はきゅうくつになるおそれがあると信じます。 世界の人々は今すぐにも手をとりあって、この重大なる仕事にかかりたいものです」 さすがにマルモ隊長は、未来をよく見ている。地球人類の繁栄は、たしかにマルモ隊長の指し示す方向にある。それを早くさとって実行にうつすのが、世界人だ。少年少女たちは、やがてかならずこの重大な仕事につくのだから、今からいっそう勉強しておかなくてはならない。
「三十年後の世界」海野十三(青空文庫)
原文を読む
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