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猿(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

盗人を猿と呼んだ候補生

  • 心理

芥川龍之介 1916年(大正5年)9月 「新思潮」

文字数
5,563字
読了目安
約11分
表記
新字旧仮名
種別
小説
舞台
  • 神奈川県

この作品について

軍艦の中で起きた盗難事件を、犯人を捕まえた海軍の候補生が語る形で書いた短編。艦内で逃げた猿を追いかけた思い出と、盗人を追う興奮とが重なるとき、語り手は思いがけないものを見ることになる。聞き手の「あなた」に向けた話しぶりも、この作品の特徴。

あらすじ

遠洋航海を終えた「私」は、横須賀に入港して三日目、艦内で盗難が続いたため、総員の身体検査に立ち会う。候補生の牧田が、信号兵奈良島の帽子箱から盗品を見つけるが、奈良島の姿が見えず、軍艦では、犯人が石炭庫で自殺することもあると聞く。艦内を捜す私たちの興奮は、航海中、艦長の時計を持って逃げた猿を追いかけたときの気持ちによく似ていた。私は下甲板の石炭庫の口で奈良島を捕まえるが、その顔を見て、人間を猿のように追っていた自分たちを恥じ、「面目ございません」という声に打たれて手を放してしまう。奈良島は浦賀の海軍監獄へ送られる。夕方、牧田に「猿を生け捕った大手柄だな」とひやかされた私は、「奈良島は人間だ。猿じゃあない」とぶっきらぼうに言い返して立ち去る。

登場人物

冒頭部(原文より)

 私が、遠洋航海をすませて、やつと半玉(軍艦では、候補生の事をかう云ふのです)の年期も終らうと云ふ時でした。私の乗つてゐたAが、横須賀へ入港してから、三日目の午後、彼是三時頃でしたらう。勢よく例の上陸員整列の喇叭が鳴つたのです。確、右舷が上陸する順番になつてゐたと思ひますが、それが皆、上甲板へ整列したと思ふと、今度は、突然、総員集合の喇叭が鳴りました。

「猿」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

刑期は、どの位だか、知りません。兎に角、少くとも、何ヶ月かは、暗い所へはいつてゐたのでせう。猿は懲罰をゆるされても、人間はゆるされませんから。

「猿」芥川龍之介(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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