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猿蟹合戦(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

仇討ちの後日を描く痛烈な社会風刺

  • 風刺

芥川龍之介 1923年(大正12年)3月 「婦人公論」

文字数
2,242字
読了目安
約4分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

芥川竜之介が、昔話「さるかに合戦」の後日談として書いた風刺小説。蟹は臼・蜂・卵とともに首尾よく猿に仇を討つ——が、物語はそこで終わらない。世論や正義のありようを、痛烈な皮肉で撃つ一編である。

あらすじ

蟹の握り飯を奪った猿は、とうとう蟹に仇を討たれた。蟹は臼・蜂・卵とともに、怨敵の猿を殺したのである——だが、お伽噺はその後を語らない。じつは彼らは仇を討った後、警官に捕縛され、ことごとく監獄に投ぜられた。裁判の結果、主犯の蟹は死刑、臼・蜂・卵の共犯は無期徒刑を宣告されたのだ。世論は当初こそ蟹に同情したものの、やがて「猿を殺したのは非常識だ」と手のひらを返し、識者は本能に支配された無教育の悲劇だと説教を垂れる。蟹の家庭も、妻は売笑婦に、長男は変節し、次男は皮肉屋の小説家に……。「とにかく猿と戦ったが最後、蟹は必ず天下のために殺されることだけは事実である。語を天下の読者に寄す。君たちもたいてい蟹なんですよ」——正義や世論の欺瞞、社会の無情を、鋭い皮肉で撃つ、芥川の風刺小説である。

登場人物

冒頭部(原文より)

 蟹の握り飯を奪った猿はとうとう蟹に仇を取られた。蟹は臼、蜂、卵と共に、怨敵の猿を殺したのである。――その話はいまさらしないでも好い。ただ猿を仕止めた後、蟹を始め同志のものはどう云う運命に逢着したか、それを話すことは必要である。なぜと云えばお伽噺は全然このことは話していない。

「猿蟹合戦」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

 三男の蟹は愚物だったから、蟹よりほかのものになれなかった。それが横這いに歩いていると、握り飯が一つ落ちていた。(……)すると高い柿の木の梢に虱を取っていた猿が一匹、――その先は話す必要はあるまい。  とにかく猿と戦ったが最後、蟹は必ず天下のために殺されることだけは事実である。語を天下の読者に寄す。君たちもたいてい蟹なんですよ。

「猿蟹合戦」芥川龍之介(青空文庫)

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