死後(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物
夢で知った妻の再婚
- 幻想
- 家族
- 文字数
- 2,957字
- 読了目安
- 約6分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
眠れぬ夜に本を読んで眠りに落ちた「僕」が見る夢を、そのまま書きとめた短編。夢のなかの「僕」はすでに死んでおり、旧友と町を歩き、自分の家へ帰る。夢の理不尽な感触と、目覚めたあとの自己嫌悪を、淡々と描く。
あらすじ
眠れない夜、「僕」は赤ん坊を抱いた妻の隣で『説教因縁除睡鈔』を読み、やがて眠りに落ちる。夢のなかで僕は三十四歳で死んでおり、友人のSと暑い町を歩いている。Sは僕の死を惜しむようでいて、自分が死なずにいることを、内心で喜んでいるように見える。やがて僕は自分の家に帰り着くが、門の標札は「櫛部寓」に変わっていた。妻は竹の皮で鎧をこしらえながら、新しい相手がいることを打ち明け、僕はその男を許せず、妻を怒鳴りつけて書斎に逃げこむ。気がつくと、見知らぬ道を歩き続けている。目を覚ました僕は、夢のなかの妻とSと自分を思い返し、妻に対して恐ろしい利己主義者になっていると感じながら、アダリン錠を嚥んで、もう一度眠りにつく。
登場人物
- 僕 語り手。作家で、赤ん坊のいる家庭をもつ
- 妻 夢のなかで、見知らぬ男と暮らしている
- S 夢のなかで「僕」と歩く、五つ年上の知人
- 櫛部某 標札に名が出る、妻の新しい相手
冒頭部(原文より)
……僕は床へはいっても、何か本を読まないと、寝つかれない習慣を持っている。のみならずいくら本を読んでも、寝つかれないことさえ稀ではない。こう言う僕の枕もとにはいつも読書用の電燈だのアダリン錠の罎だのが並んでいる。その晩も僕はふだんのように本を二三冊蚊帳の中へ持ちこみ、枕もとの電燈を明るくした。
「死後」芥川龍之介(青空文庫)
末尾部(原文より)
しかも僕自身は夢の中の僕と必しも同じでないことはない。僕は一つには睡眠を得るために、また一つには病的に良心の昂進するのを避けるために〇・五瓦のアダリン錠を嚥み、昏々とした眠りに沈んでしまった。……
「死後」芥川龍之介(青空文庫)
原文を読む
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