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変身(カフカ)のあらすじ・登場人物

目ざめると、一匹の毒虫に

  • 詳細なあらすじ
  • 人物相関図
  • 幻想
  • 家族
  • 翻訳

カフカ 訳者 原田義人 1960年(昭和35年)4月 「書き下ろし」

文字数
56,367字
読了目安
約1時間53分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

ある朝、目をさますと巨大な毒虫になっていた——二十世紀文学で最も有名な書き出しを持つフランツ・カフカの中篇(原題 DIE VERWANDLUNG、1915年)を、ドイツ文学者・原田義人が訳したもの。理由も説明もないまま起きてしまった変身を、悲鳴でも幻想でもなく、勤め先への遅刻の心配という日常の手ざわりのまま書き継いでゆく。不条理文学の代名詞として世界中で読まれてきた。

あらすじ

旅まわりのセールスマンであるグレゴール・ザムザは、ある朝、気がかりな夢からさめて、自分が巨大な毒虫に変わっているのに気づく。甲殻のような背中、たくさんの細い足。だが彼がまず考えたのは、五時の汽車に乗りそこねたこと、支配人に遅刻をとがめられること、そして自分が働いて返している父の借金のことだった。声は聞き取れないものに変わり、扉の外には母と妹と父、そして様子を見に来た支配人が並ぶ。やっとの思いで扉を開けた彼の姿に、支配人は逃げ出し、父はステッキで彼を部屋へ追い返す。以後グレゴールは部屋に閉じこめられ、妹のグレーテだけが食べ物を運び、掃除をするようになる。家具を運び出そうとする母と妹に抗って壁の額にしがみついた日、父の投げたりんごが背中にめりこみ、傷は癒えないまま残った。一家は下宿人を置いて働きに出るようになり、グレゴールは埃にまみれて忘れられてゆく。ある晩、妹のヴァイオリンの音に引かれて部屋を出たことで下宿人たちは契約を打ち切ると告げ、妹はついに「あれを追い払わなければ」と言い放つ。夜明け前に息を引き取った彼の亡骸は女中の手で片づけられ、一家は久しぶりに電車で郊外へ出かける。

登場人物

人物相関図

世話をするが最後に閉め出すステッキで追い、りんごを投げる会いたがるが姿に気を失う夫婦兄の排除を父に迫る一室を貸し、最後に追い出す姿を見つけ、指さす頭格に付き従う父の借金を返している遅刻を責め、姿を見て逃げる店主の手先額にはりつき守りぬく「かぶと虫」と呼び亡骸を片づけるてんしゅ店主商会の主。父が借金をしている相手しはいにん支配人商会の支配人。遅刻の朝に訪ねてくるみせのこづかい店の小使五時の汽車で待つ。遅刻を報告したはずの男グレゴール・ザムザグレゴール旅まわりのセールスマン。ある朝、毒虫に変わるけがわのふじん毛皮の婦人額に入れた雑誌の切り抜き写真てつだいばあさん手伝い婆さん骨ばった大女の後家。朝晩の力仕事を引き受けるザムザ氏父破産後は働かず。のち銀行の小使ザムザ夫人母喘息もち。のち下着の縫い物の内職グレーテ十七歳の妹。ヴァイオリンを弾くまんなかの男三人の下宿人の頭格。顔じゅう髯の男ほかの下宿人二人まんなかの男に付き従う
人物の関係を整理した相関図(アプリ収録の図をそのまま掲載しています)

章ごとの「詳細なあらすじ」

アプリでは、この作品を次の章立てで詳しく読めます(全文はアプリ内)。

  1. 一 この作品について
  2. 二 主要人物
  3. 三 主要なサブキャラクター
  4. 四 導入──目ざめると毒虫に
  5. 五 扉を開ける──支配人の逃走と父のステッキ
  6. 六 妹の世話──ミルクの鉢とソファの下
  7. 七 家具の運び出し──額の婦人と父のりんご
  8. 八 家族の変貌──制服の父と三人の下宿人
  9. 九 ヴァイオリンの夜──「あいつはいなくならなければならない」
  10. 十 結末──夜明けの死と郊外への電車
  11. 十一 重要な設定と伏線

冒頭部(原文より)

ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。彼は甲殻のように固い背中を下にして横たわり、頭を少し上げると、何本もの弓形のすじにわかれてこんもりと盛り上がっている自分の茶色の腹が見えた。腹の盛り上がりの上には、かけぶとんがすっかりずり落ちそうになって、まだやっともちこたえていた。ふだんの大きさに比べると情けないくらいかぼそいたくさんの足が自分の眼の前にしょんぼりと光っていた。 「おれはどうしたのだろう?」と、彼は思った。夢ではなかった。自分の部屋、少し小さすぎるがまともな部屋が、よく知っている四つの壁のあいだにあった。

「変身」カフカ(青空文庫)

末尾部(原文より)

こんな話をしているあいだに、ザムザ夫妻はだんだんと元気になっていく娘をながめながら、頬の色も蒼ざめたほどのあらゆる心労にもかかわらず、彼女が最近ではめっきりと美しくふくよかな娘になっていた、ということにほとんど同時に気づいたのだった。いよいよ無口になりながら、そしてほとんど無意識のうちに視線でたがいに相手の気持をわかり合いながら、りっぱなおむこさんを彼女のために探してやることを考えていた。目的地の停留場で娘がまっさきに立ち上がって、その若々しい身体をぐっとのばしたとき、老夫妻にはそれが自分たちの新しい夢と善意とを裏書きするもののように思われた。

「変身」カフカ(青空文庫)

名文

ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。

世界文学で最も有名な書き出しの一つ。理由も説明も与えられないまま、ありふれた朝に異変が起きている。その不条理を淡々と告げる語り口が、カフカの世界そのものになっている(原田義人訳)。

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

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