新ハムレット(太宰治)のあらすじ・登場人物
太宰が語り直す不幸な家庭
- 心理
- 家族
- 文字数
- 94,943字
- 読了目安
- 約3時間10分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
太宰治が1941年(昭和16年)7月、文藝春秋社から書き下ろしで刊行した長編。シェイクスピアの『ハムレット』から人物と設定を借り、全編をほぼ戯曲のような会話で進める。王子ハムレット、再婚した母ガーツルード、新王クローヂヤス、恋人オフィリヤらを、近代人の弱さと言い訳を語る人物に置き換え、「一つの不幸な家庭」の物語として描き直した。原作の筋の再現ではなく、人物の心理の実験として読まれる。
あらすじ
デンマークの王子ハムレットは、父王の急死と、まもない母ガーツルードと叔父クローヂヤスの再婚に深く傷つき、鬱屈している。父の亡霊が語ったという「叔父による毒殺」の疑惑を胸に、ハムレットは気のふれたふりをして周囲を探り、恋人オフィリヤや、その父の大臣ポローニヤス、母や新王をも激しく問いつめる。だが、この「新ハムレット」の人物たちは、原作の英雄的な悲劇の主人公ではなく、みな言い訳がましく、気弱で、身勝手な近代人の姿をしている。優柔不断なハムレットの疑いと、それぞれの思惑がすれ違うなか、ある一家庭のたった三日間の悲劇が進んでいく。新王クローヂヤスは「強くなれ」と自らを励まし、生きて宿命をまっとうすると誓うが、ハムレットは「僕の疑惑は、僕が死ぬまで持ちつづける」と言い放って幕となる。
登場人物
- ハムレット 父王の死と母の再婚に苦しむ、優柔不断な王子
- クローヂヤス ハムレットの叔父。父王の死後、新王となり母と再婚する
- ガーツルード ハムレットの母。新王の妃
- オフィリヤ ハムレットの恋人
- ポローニヤス オフィリヤの父。老練な大臣
冒頭部(原文より)
こんなものが出来ました、というより他に仕様が無い。ただ、読者にお断りして置きたいのは、この作品が、沙翁の「ハムレット」の註釈書でもなし、または、新解釈の書でも決してないという事である。これは、やはり作者の勝手な、創造の遊戯に過ぎないのである。人物の名前と、だいたいの環境だけを、沙翁の「ハムレット」から拝借して、一つの不幸な家庭を書いた。
「新ハムレット」太宰治(青空文庫)
末尾部(原文より)
王。「強くなれ! クローヂヤス。恋を忘れよ。虚栄を忘れよ。デンマーク国の名誉、という最高の旗じるし一つのために戦え! ハムレット、腹の中では、君以上に泣いている男がいますよ。」 ハム。「信じられない。僕の疑惑は、僕が死ぬまで持ちつづける。」
「新ハムレット」太宰治(青空文庫)
原文を読む
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