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新女大学(福沢諭吉)のあらすじ・登場人物

新しい時代の女性の道

  • 社会

福沢諭吉 1899年(明治32年) 「時事新報」

文字数
17,437字
読了目安
約35分
表記
新字新仮名

この作品について

1899年(明治32年)、福沢諭吉が『女大学評論』に続けて「時事新報」に発表した女子教育・家庭論。旧来の『女大学』を批判したうえで、新しい時代の女性の育て方、結婚、嫁と姑、育児、家計、気品、夫の死後の再縁までを二十三か条にまとめる。巻末に、福沢が女学論を発表するに至った事情を記した記事がつく。

あらすじ

全二十三条で、女子も男子と等しく生まれ、父母に育てられる以上、両親の責任は同じだと説き起こす。出産と育児の苦労を父が思いやるべきこと、娘にも体育を専一にさせること、学問は物理学を土台に男女で相違がないことを述べ、優美を貴ぶ遊芸の稽古や、父母の行状による徳育、家族が隠しごとなく団欒する家風を勧める。結婚については、西洋のように当人どうしが相手を選ぶ方法と、父母が選ぶ便利さを比べ、男女の交際の範囲を社会に広げることを望む。嫁と姑については、舅姑は実の親ではなく他人どうしの和合の工夫が要るとし、新夫婦は老夫婦と別居するのがよいという。育児、下女下男の扱い、婦人が家計に通じておくことにも触れ、さらに気品を保つこと、品のない饒舌を慎むこと、夫婦が一心同体であることを説く。夫に先立たれた若い婦人には、寡居を美徳とする風潮を退けて、再縁を主張する。巻末で、旧説と相容れないために反対もあるだろうが、新しい人を友にして進むと述べる。

冒頭部(原文より)

一 夫れ女子は男子に等しく生れて父母に養育せらるゝの約束なれば、其成長に至るまで両親の責任軽からずと知る可し。多産又は病身の母なれば乳母を雇うも母体衛生の為めに止むを得ざれども、成る可くば実母の乳を以て養う可し。母体平生の健康大切なる所以なり。小児は牛乳を以て養う可しと言い、財産家は乳母を雇うこと易しとて、母に乳あるも態と之を授けずして恰も我子の生立を傍観する者なきにあらず。大なる心得違にして、自然の理に背く者と言う可し。 一 婦人の妊娠出産は勿論、出産後小児に乳を授け衣服を着せ寒暑昼夜の注意心配、他人の知らぬ所に苦労多く、身体も為めに瘠せ衰うる程の次第なれば、父たる者は其苦労を分ち、仮令い戸外の業務あるも事情の許す限りは時を偸んで小児の養育に助力し、暫くにても妻を休息せしむ可し。

「新女大学」福沢諭吉(青空文庫)

末尾部(原文より)

古語に衣食足りて礼譲興ると言う。婦人に資力なきは喩えば衣食足らざるものゝ如し。父母たる者が之に財産を分与するは、我愛女に衣食を豊にして夫婦の礼を知らしむるの道なりと知る可し。但し婦人に財産を与えても自から之を処理するの法を知らざれば、幾千万の金も有て無きが如し。既に之を所有すれば其安全を謀り其用法を工夫し、世間の事情を察し又人の言を聞き、妄りに疑う可らず妄りに信ず可らず、詰り自分一人の責任にこそあれば、之に処するの法決して易からず。西洋諸国良家の女子には此辺の事に就て漠然たらざる者多しと言う。等閑に看過す可らざる所のものなり。

「新女大学」福沢諭吉(青空文庫)

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