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心中万年草(近松門左衛門)のあらすじ・登場人物

女人禁制の山で、恋が御法度を破る

  • 恋愛
  • 古典

近松門左衛門 1710年4月

文字数
14,771字
読了目安
約30分
表記
新字旧仮名
舞台
  • 和歌山県

この作品について

近松門左衛門の人形浄瑠璃。正式な外題は「高野山女人堂 心中万年草」で、1710年(宝永7年)4月に大坂・竹本座で初演されたとされる世話物。上・中・下の三巻から成る。舞台は、女人禁制の高野山とその麓の神谷の宿。播磨の武家の子で、高野山の寺小姓になっている久米之介は、麓の雑賀屋の娘お梅と深い仲になっている。お梅は、国もとの父の手紙を装った偽の文で、久米之介に暇を取らせて連れ出そうとするが、二通の文が入れ違い、恋文が法印の手に渡って露見する。久米之介は、かつて喧嘩で殺した小姓の兄に出会い、女犯の罪も問われて山を追われる。お梅の家では京の紙屋との祝言が迫り、二人は一夜の騒ぎに紛れて逃れ出る。死に場所を求めて高野山の女人堂まで来た二人は、久米之介の姉と思いがけず出会うが、名乗れないまま別れ、互いに命を絶つ。男色の風習が残る寺の小姓と町娘の恋を軸に、女人禁制の山と、親の許さない恋とを描いた心中物である。本書は「近代日本文学大系」第6巻(国民図書、1927年)による原文で、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて起こし、収録した。

あらすじ

【上之巻】高野山南谷の吉祥院に、播磨の大名の使者が来るというので、小姓衆は掃除や支度に追われている。小姓の久米之介のもとへ、国もとの父の使いと称して、岸の和田の駕籠かき九兵衛が来る。実は麓の雑賀屋の娘お梅の頼みで、偽の父の手紙を渡し、暇を取って二人で逃げさせるための使いだった。ところが、久米之介が開いた文は、封が入れ違っていて、お梅の恋文は法印の手に渡っていた。そこへ大名の使者として来た伊吹千右衛門が、久米之介が十二のとき殺した小姓の兄だと名乗り、法印も、女犯の穢れで山が崩れると怒る。久米之介は、念者の祐弁律師にまで踏みつけられ、山を追い出される。【中之巻】その夜、麓の雑賀屋では、お梅が京の紙屋、美濃屋作右衛門に嫁ぐ祝言の支度が進んでいる。九兵衛に連れられて戻った久米之介を、お梅は二階へ上げ、二人は涙ながらに互いの思いを確かめる。上がり込んだ作右衛門が男のある証拠を出せと迫って騒ぎになったところへ、九兵衛が仕組んだ石が投げ込まれ、闇に紛れて二人は逃げ出す。母は娘の手に、形見として盃を握らせる。【下之巻】二人は道行の末に、高野山の入口、女人堂へたどり着く。堂には久米之介の姉さつが、亡くなった父の骨を納めに来ていたが、弟の名を明かせず、二人はそのまま姉と別れる。姉の持つ万年草は、弟の死を告げるように枯れていた。久米之介は、母の形見の盃を手にしたお梅を刺し、自らも咽を突いて、後を追う。

登場人物

冒頭部(原文より)

女嫌やる高野の山に、なぜに女松は生ゆるぞや。なぜに女松が生えまいならば、夜這星でも飛ぶまいか。

「心中万年草」近松門左衛門(青空文庫)

末尾部(原文より)

地水火風の風は山、水は谷水土は又、土砂の功徳の真言秘密、善男子善女人堂、心中かくとぞ聞えける。

「心中万年草」近松門左衛門(青空文庫)

原文を読む

原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:「近代日本文学大系」第6巻 近松門左衛門集 上(国民図書、1927年)。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて起こし、本文だけを収録した(ルビ・註の印・曲節の指定・場面の標題・解題・註釈は省いた)。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。

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