アプリで読む

無料・登録不要

虱(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

虱を飼う侍と食う侍

  • 風刺
  • 歴史

芥川龍之介 1916年(大正5年)5月 「希望」

文字数
4,111字
読了目安
約8分
表記
新字旧仮名
種別
小説
舞台
  • 大阪府

この作品について

元治元年、長州征伐に向かう加賀藩の軍勢の船の中で、虱を飼うべきか狩るべきかをめぐって、侍たちが真剣に論争する滑稽な一編。「虱を飼えば暖かく眠れて風邪をひかない」という奇論をめぐって、船内が二派に分かれ、ついには刃傷沙汰に及ぶ。

あらすじ

元治元年十一月、長州征伐に加わる加賀藩の勢は、大阪の安治川口から五百石積の船に分乗して出発する。狭い船にはおびただしい虱がわき、侍たちは暇さえあれば裸になって虱狩りに励んだ。ところが御徒士の森権之進だけは、虱を飼うほうが体が温まり、風邪もひかないと言い、仲間が取った虱を襟に受けて大切にする。やがて船中には、これに倣う者と、取った虱を片端から食う井上典蔵らの反対派とが現れる。ある日、森が飼おうとしていた虱を井上が食ってしまい、口論の末に、二人は刀の柄に手をかけて立ち上がる。止められてもなお「虱、虱」と叫び続ける二人を乗せたまま、船は紅白の幟を寒風にひるがえし、西へ西へと走り続ける。

登場人物

冒頭部(原文より)

 元治元年十一月二十六日、京都守護の任に当つてゐた、加州家の同勢は、折からの長州征伐に加はる為、国家老の長大隅守を大将にして、大阪の安治川口から、船を出した。  小頭は、佃久太夫、山岸三十郎の二人で、佃組の船には白幟、山岸組の船には赤幟が立つてゐる。五百石積の金毘羅船が、皆それぞれ、紅白の幟を風にひるがへして、川口を海へのり出した時の景色は、如何にも勇ましいものだつたさうである。

「虱」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

かう云ふ具合に、船中の侍たちが、虱の為に刃傷沙汰を引起してゐる間でも、五百石積の金毘羅船だけは、まるでそんな事には頓着しないやうに、紅白の幟を寒風にひるがへしながら、遙々として長州征伐の途に上るべく、雪もよひの空の下を、西へ西へと走つて行つた。

「虱」芥川龍之介(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品

近い作品