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早春(芥川龍之介)のあらすじ・登場人物

待ちぼうけの博物館

  • 恋愛
  • 青春

芥川龍之介 1925年(大正14年)1月 「東京日日新聞」

文字数
3,136字
読了目安
約6分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

「保吉もの」の系列の掌編。博物館の爬虫類標本室で、約束の時刻になっても現れない恋人を待つ大学生中村の、時計を見るたびに変わる心の揺れを描く。友人堀川が語る別の筋書きと、十年後の落ちまで、短いなかに皮肉が詰まっている。

あらすじ

大学生の中村は、恋人の三重子との待ち合わせ場所に決めた博物館の爬虫類標本室に、二時ちょうどに着く。しかし三重子は現れず、彼は時計を見るたびに、以前とは変わってしまった恋人への幻滅や、義務感、まだ残る愛着のあいだで気持ちを揺らす。二時半を過ぎても待ち、三時十分にようやく階段を下りる。その夜、カフェで友人の堀川にこの話をすると、堀川は、君が帰った後に顔色の青白い女学生が標本室に入ってくるという、小説の筋を即興で語ってみせる。それから十年、中村はベルリンに勤め、三重子もとうに結婚したらしい。小説家となった堀川は、婦人雑誌の口絵に、子供たちと並んで写る三重子を見つけ、その目方を、ひそかに案じる。

登場人物

冒頭部(原文より)

 大学生の中村は薄い春のオヴァ・コオトの下に彼自身の体温を感じながら、仄暗い石の階段を博物館の二階へ登っていった。階段を登りつめた左にあるのは爬虫類の標本室である。中村はそこへはいる前に、ちょっと金の腕時計を眺めた。

「早春」芥川龍之介(青空文庫)

末尾部(原文より)

容色はまだ十年前と大した変りも見えないのであろう。目かたも、――保吉はひそかに惧れている、目かただけはことによると、二十貫を少し越えたかも知れない。……

「早春」芥川龍之介(青空文庫)

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