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雀こ(太宰治)のあらすじ・登場人物

野火の向こうの雀こ欲うし

  • 青春

太宰治 1935年(昭和10年)7月 「作品」

文字数
2,340字
読了目安
約5分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 青森県

この作品について

太宰治が1935(昭和10)年7月号の『作品』に発表した掌編。津軽の子供たちが、雪解けの野原で野火を挟んで二組に分かれる遊び「雀こ欲うし」の一場面を、津軽弁の語りで描く。冒頭と結びに同じ昔噺の文句を置き、勝ち気な少女タキと、いつも売れ残る寺の子マロサマの小さなやりとりを収める。

あらすじ

「橡の木にからすが一羽とまって鳴くと、橡の実が一つ落ちる」という昔噺の繰り返しで始まる。語り手の国の子供たちは、雪解けのころ、野原の枯れた芝に火をつけて野火で遊ぶ。野火を挟んで二組に分かれ、「雀、雀、雀こ欲うし」と歌いかけて、相手の組から一人ずつ仲間に取り合う遊びである。いつも一番先に欲しがられるのは、よろず屋の一人娘で威勢のよいタキ、いつも最後に売れ残るのは、お寺の坊主の子で痩せたマロサマだった。この日も売れ残ったマロサマが、「なかの雀こ欲うし」とタキを呼ぶ。タキの組は、羽がない、杉の木が火事だ、川が大水だと、断りの歌で返し、マロサマは考え考え「橋こ架けて飛んで来い」と歌うが、橋が流れたと返されて、とうとう泣き出し、「あみださまや」と口走る。子供たちは笑い囃すが、タキは「わの心こ知らずて、お念仏」と叫んで雪玉を投げつける。マロサマは泣くのをやめて野原を逃げていく。晩になると子供たちは婆さまの炬燵にもぐり込み、いつもの昔噺を聞く。

登場人物

冒頭部(原文より)

長え長え昔噺、知らへがな。 山の中に橡の木いっぽんあったずおん。 そのてっぺんさ、からす一羽来てとまったずおん。 からすあ、があて啼けば、橡の実あ、一つぼたんて落づるずおん。 また、からすあ、があて啼けば、橡の実あ、一つぼたんて落づるずおん。 また、からすあ、があて啼けば、橡の実あ、一つぼたんて落づるずおん。 …………………………  ひとかたまりの童児、広い野はらに火三昧して遊びふけっていたずおん。春になればし、雪こ溶け、ふろいふろい雪の原のあちこちゆ、ふろ野の黄はだの色の芝生こさ青い新芽の萌えいで来るはで、おらの国のわらわ、黄はだの色の古し芝生こさ火をつけ、そればさ野火と申して遊ぶのだおん。

「雀こ」太宰治(青空文庫)

末尾部(原文より)

わらわ、めいめいの家さかえり、めいめい婆さまのこたつこさもぐり込んだずおん。いつもの晩げのごと、おなじ昔噺をし、聞くのだずおん。 長え長え昔噺、知らへがな。 山の中に橡の木いっぽんあったずおん。 そのてっぺんさ、からす一羽来てとまったずおん。 からすあ、があて啼けば、橡の実あ、一つぼたんて落づるずおん。 また、からすあ、があて啼けば、橡の実あ、一つぼたんて落づるずおん。 また、からすあ、があて啼けば、橡の実あ、一つぼたんて落づるずおん。 …………………………

「雀こ」太宰治(青空文庫)

原文を読む

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