鉄面皮(太宰治)のあらすじ・登場人物
鉄の面をかぶって語る苦心談
- 風刺
- 心理
- 文字数
- 11,323字
- 読了目安
- 約23分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
太宰治の短編。1943年(昭和18年)4月、雑誌「文學界」に発表された。執筆中の長編「右大臣実朝」について創作の苦心談を頼まれた作者が、自慢話にならないよう『鉄面皮』という題をかぶって語る、随筆風の小説。長兄に叱咤された思い出や、在郷軍人の査閲で思いがけず称賛された自嘲談を挟みつつ、実朝の近習の語りの一部を作中に引く。
あらすじ
「私」は、執筆中の長編「右大臣実朝」について創作の苦心談を頼まれるが、自作の宣伝めいた自慢話になることを恐れ、題を『鉄面皮』と書いて気持ちを落ち着ける。昭和十一年、一箇月の入院中に書いた日記体の小説に「実朝をわすれず」と記したことから、実朝を書くのが少年の頃からの念願だったと語り、年末に帰郷した際、長兄に「死ぬまで駄目だ」と叱咤された思い出や、歴史小説への不満へと話を広げていく。そのあいだに、実朝の近習が出家後に思い出を語るという「右大臣実朝」の趣向を示し、吾妻鏡を挟みながら、実朝の疱瘡のあとの言葉や、公暁との出会いの場面の抜き書きを紹介する。また、在郷軍人の分会査閲に参加して、思いがけず模範として名指しで称賛され、かえって気重な思いをしたことを自嘲して語る。最後は、実朝が「学問ハオ好キデスカ」と公暁に問い、「ソレダケガ生キル道デス」と言う一節で終わる。
登場人物
- 私 「右大臣実朝」を書いている作家。三十五歳
- 長兄 「私」に「死ぬまで駄目だ」と叱咤した郷里の兄
- 実朝(将軍家) 「右大臣実朝」の主人公。近習の語りに登場する
- 近習 出家後に実朝の思い出を語る人物(作中作)
- 公暁 実朝の甥で、禅師として登場する(作中作)
冒頭部(原文より)
安心し給え、君の事を書くのではない。
「鉄面皮」太宰治(青空文庫)
末尾部(原文より)
その時将軍家は、私の気のせいか少し御不快の様に見受けられました。しばらくは何もおっしゃらず、例の如く少しお背中を丸くなさって伏目のまま、身動きもせず坐って居られましたが、やがてお顔を、もの憂そうにお挙げになり、 学問ハオ好キデスカ と、ちょっと案外のお尋ねをなさいました。 「はい。」と尼御台さまは、かわってお答えになりました。「このごろは神妙のようでございます。」 無理カモ知レマセヌガ とまた、うつむいて、低く呟くようにおっしゃって、 ソレダケガ生キル道デス
「鉄面皮」太宰治(青空文庫)
原文を読む
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