姥捨(太宰治)のあらすじ・登場人物
死へ向かう夫婦の道行き
- 心理
- 文字数
- 13,853字
- 読了目安
- 約28分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 群馬県
この作品について
太宰治が1938年(昭和13年)10月、『新潮』に発表した中編。妻の過ちが分かったことをきっかけに、夫婦で死ぬことを決意した男が、雪の残る上州の山あいの温泉へ向かう。作者自身が1937年に最初の妻・初代と群馬の山中で試みた心中未遂に取材した作品で、二人の道行きを、恨みごとや冗談を交えたやりとりとともに、突き放した筆致でつづる。題名は姨捨山の伝説にちなむ。
あらすじ
妻かず枝の過ちが露見し、嘉七は妻とともに死ぬことを決意する。「ひとりで死んでゆくつもりか」とかず枝の覚悟を問いただしながら、嘉七自身もまた、ふっと死にたくなる。二人は睡眠薬を手に、雪の残る上州の山あいの温泉へと死出の旅に出る。宿での最後の夜、思い出話や恨みごと、たわいない冗談を交わしながら、二人は薬を飲んで山中へ分け入る。だが、彼らは死にきれない。目を覚ました二人は里へ運ばれ、生きながらえてしまう。やがて嘉七はかず枝ときっぱり別れるが、面倒見のよい叔父が時おり「かず枝も、かあいそうだね」とつぶやくたびに、嘉七は心弱くなり、困り果てるのだった。
登場人物
- 嘉七 妻の過ちから心中を決意する夫
- かず枝 嘉七の妻。過ちを犯し、夫とともに死のうとする
- 叔父 嘉七の面倒をみる、人のよい叔父
冒頭部(原文より)
「それはいけない。おまえの覚悟というのは私にわかっている。ひとりで死んでゆくつもりか、でなければ、身ひとつでやけくそに落ちてゆくか、そんなところだろうと思う。おまえには、ちゃんとした親もあれば、弟もある。」などと、ふんべつありげなことを言っていながら、嘉七も、ふっと死にたくなった。
「姥捨」太宰治(青空文庫)
末尾部(原文より)
この叔父は、いいひとだった。嘉七がはっきりかず枝とわかれてからも、嘉七と、なんのこだわりもなく酒をのんで遊びまわった。それでも、時おり、「かず枝も、かあいそうだね。」と思い出したようにふっと言い、嘉七は、その都度、心弱く、困った。
「姥捨」太宰治(青空文庫)
原文を読む
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