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宇宙戦隊(海野十三)のあらすじ・登場人物

帆村荘六、宇宙戦争を警告す

  • SF
  • 冒険

海野十三 1944年(昭和19年)5月 「海軍」

文字数
77,201字
読了目安
約2時間34分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

海野十三の名探偵・帆村荘六が活躍する少年向け未来SF。地底の坑道で発見された、緑色の金属に包まれた奇妙な死骸をきっかけに、地球の空の高みで人類を待ち受ける「魔の空間」と、宇宙の彼方からやってきた生物ミミ族の存在が明らかになっていく。成層圏の探検、宇宙艇での決死の偵察、科学の力による反撃と、物語は日常の怪事件から宇宙戦争へと大きく広がる。戦時下に書かれた作品で、作者は冒頭で「未来小説」として読んでほしいと語りかけている。

あらすじ

鉱山の坑道で、緑色の鎧をまとい、三本の角を持つ奇怪な死骸が発見される。死骸は解剖の最中に跳ね起き、水蒸気のように消えてしまう。理学士の帆村荘六は、これを宇宙から来た者の仕業と考え、さらなる襲来を警告するが、調査隊の学者たちは取り合わない。やがて近くの村で不思議な現象が相次ぎ、航空隊でも飛行機が見えない壁にぶつかって消息を絶つ。帆村は山岸中尉らの共鳴を得て、宇宙戦研究班とともに噴射艇で成層圏へ決死の偵察に出る。そこで彼らが出会ったのは、「魔の空間」の中に潜む緑色の生物ミミ族だった。帆村たちは捕われの身となるが、ミミ族の弱点と習性を見抜き、脱出に成功する。帆村は電子ストロボ鏡を発明してミミ族を目に見えるようにし、第一宇宙戦隊がミミ族を追い払うが、帆村は「彼らはまた来る」と警告するのだった。

登場人物

冒頭部(原文より)

奇妙な死骸  ここに一つの奇妙な死骸が、地底七百メートルの坑道の中で発見された。坑道というのは、鉱石をほりだすため、地の底へむけてほった穴の中のことだ。  その奇妙な死骸は、たしかに金属と思われるもので作られたかたい鎧で、全身を包んでいたのだ。  しかしその姿は、じつにふしぎな、そしてめずらしいものであった。それを見つけた人々は、なんとかしてその死骸の姿に似たようなものを、これまでに見た雑誌の写真や、映画などから思い出そうとしたが、だめであった。まったく今までに、それに似かよったものが見あたらないのだ。

「宇宙戦隊」海野十三(青空文庫)

末尾部(原文より)

 こうしてこの怪事件も、ついに結末をつげた。宇宙戦隊の威力と、帆村荘六のすぐれた研究とが、せっかく来襲したミミ族を、その目的の百分の一も達せさせないうちに、見事に追い払ったわけである。その功は大きい。  だが帆村は、すこしもその功を誇らなかったし、やれやれと安心の色も示していなかった。彼はこう言うのであった。 「まあ、こんなわけで、ミミ族は弱点をおさえられ、一応退去しましたが、これでもう、二度と地球へやってこないとはいえませんよ。いやいや、きっと彼らは、ふたたび来襲することでしょう。今回にこりて、彼らはもっともっと強力な準備をし、これだけのものを持っていけば、必ず地球人類を制圧できるという、自信のついたところで来寇するでしょう。油断はならないのです。相手が準備に費す間に、こっちでもじゅうぶんの防禦準備をつくらねばなりません。それにはぜひともここ一二年のうちに、宇宙艦隊を数千隊にふやし、警備線を天王星、海王星あたりまで進めなければならんです。さあ、皆さん、元気をだして、誰も彼もが宇宙艇を操縦して、宇宙生活にたえるように勉強と訓練をして頂かねばなりません。しかも地球を狙うものはミミ族だけではないのです。第二第三のミミ族にも備えることが肝要です。成層圏飛行に成功したくらいで安心していては、間もなくミミ族のために、簡単にたべられてしまいますよ。さあ、蹶起してください」

「宇宙戦隊」海野十三(青空文庫)

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