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右門捕物帖 身代わり花嫁(佐々木味津三)のあらすじ・登場人物

消えた雪舟と生島屋の若夫婦

  • ミステリ
  • 歴史

佐々木味津三 

文字数
22,391字
読了目安
約45分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

佐々木味津三の捕物小説「右門捕物帖」全38話の第十一話。口数の少ない南町奉行所の同心「むっつり右門」こと近藤右門と、おしゃべりな手下の伝六が江戸の事件を解く連作。師走の月末、日本橋小田原町の呉服屋生島屋は、若主人の新婚と相続を祝う歳末大売り出しで大繁盛していた。伝六にせがまれて店をのぞいた右門が、ある少女への贈り物の帯を買ったその帰り道、店から呼び止められる。家宝の雪舟の掛け軸が、だれも入らぬ座敷から煙のように消えたというのである。主人の奇妙な念押しや、身代わりの新画の箱書きが謎を呼ぶ。

あらすじ

師走の月末、右門は伝六と日本橋小田原町の呉服屋生島屋の大売り出しをのぞき、伊豆守の屋敷に奉公するお静のために上等の丸帯を買う。その帰り道、店の主人七郎兵衛から呼び止められ、家宝の雪舟の掛け軸が、床の間から消えたと打ち明けられる。座敷に入ったのは、お出入りのに組の鳶頭金助だけ。床には祝儀にもらった新画が掛けられ、その箱書きが盗まれた雪舟と同じ尺二寸の寸法だった。右門は七郎兵衛が欲の深い握り屋で、しきりに右門なら内聞にしてくれるかと念を押したことに引っかかる。右門は火の見やぐらのある金助の家へ行き、隣が火事だと叫ばせて、慌てた金助が持ち出そうとした石臼の中から雪舟を見つける。口を割らない金助を縄で恥ずかしめず、座敷手錠にとどめると、金助は男気に感じて真相を語った。生島屋には、兄弟の子のうち男の子を産んだ方に身代を譲るという家のしきたりがあった。兄の八郎兵衛の子は娘で、七郎兵衛の跡取りの陽吉はなぜか昔からひとりで別ぶろに入る。陽吉が十日前にめとったのは、名うての書画気違いのろうそく問屋鍵屋長兵衛の娘。長兵衛が若夫婦の秘密をたてに雪舟をゆすり取ろうとしていると見て、金助は先に雪舟を隠したのだった。その夜、生島屋で洗われていた足袋が、嫁のほうが十文半の大足とわかり、右門は若夫婦を呼び出す。陽吉は女、嫁は男だった。七郎兵衛は娘を男に仕立てて六万両の身代を私し、長兵衛の息子を女に装わせてめあわせていたのである。右門は身代を二分して兄八郎兵衛に半分を与えるよう申し渡す。

登場人物

冒頭部(原文より)

1  ――ひきつづき第十一番てがらに移ります。  事の勃発いたしましたのは師走の月ずえ。今までもしばしば申し上げたように、当今とは一カ月おくれの太陰暦ですから、師走は師走であっても、ずっと寒気がきびしくて、朝夕はへそまでが凍りそうな寒のさいちゅうでした。

「右門捕物帖 身代わり花嫁」佐々木味津三(青空文庫)

末尾部(原文より)

「もうそのほうたちも、今宵から天下晴れて、女は女、男は男の勤めができるから、お湯なども人にかくれてはいるには及ばぬぞ」  ふたりはむろんまっかになって、両ほおはいっぱいのもみじでありました。ことに、男となっている陽吉はひとしおの赤らみ方で、それゆえいっそう艶にういういしさを増したくらいでありました。  ――しかし、表は年の瀬まえのこがらし吹きつのる冷たい夜半でした。右門十一番てがらは、かくして冷たい夜半のうちに、めでたくも美しい結果をつげたしだいです。

「右門捕物帖 身代わり花嫁」佐々木味津三(青空文庫)

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