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右門捕物帖 村正騒動(佐々木味津三)のあらすじ・登場人物

新墓の胴切りと妖刀の影

  • ミステリ
  • 歴史

佐々木味津三 

文字数
18,570字
読了目安
約37分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

佐々木味津三の捕物小説「右門捕物帖」全38話の第七話。口数の少ない南町奉行所の同心「むっつり右門」こと近藤右門と、おしゃべりな手下の伝六が江戸の事件を解く連作。お盆の十六日、寺に見立てた風変わりな料亭での奉行所の慰労の宴のさなか、右門は寺の新墓から掘り出された女の死骸が胴切りにされていたといううわさを耳にする。先着した功名争いの相手あばたの敬四郎を尻目に、右門が見抜いたのは死骸の傷に残る太刀筋の妙。徳川家に忌まれた妖刀村正の名が浮かび、右門の「捕物美談」が始まる。

あらすじ

お盆の十六日、奉行所の慰労の宴の席で、右門は仁光寺の新墓から若い女の死骸が二つ掘り出され、胴切りにされていたと聞きつける。駆けつけると、あばたの敬四郎が先に来ていて恨みの末の仕業と見たが、右門は傷を改めて、すばらしいわざ物で左ききの者が試し斬りをした「死に胴ためし」と見抜く。右門は寺の山門に、心配ごとのある若衆へ相談に乗ると張り紙をする。誘いに応じて現れたのは越前松平家の小姓石川杉弥。主君から預かった秘蔵の村正を盗まれ、世に出せぬ妖刀ゆえに表沙汰にもできず苦しんでいた。右門は助勢を約すが、左ききの侍を求めて道場を洗っても手がかりはない。思い直した右門は、杉弥を罪人としてわざとくくり上げ、越前家の屋敷近くを引き回して牢に入れる。翌朝、杉弥を案じて訪ねてきたのは、下屋敷の奥勤めの少女百合江だった。杉弥と言いかわした仲だという百合江から、杉弥の朋輩に、左ききの無念流の遣い手である双子の兄弟、波沼要介と欣一郎がいると聞いた右門は、一計を授ける。夕月の向島で、百合江は兄弟を水泳ぎに誘い、肌をあらわに川へ飛びこむ。兄弟が後を追った隙に、杉弥が二人の刀を改めると、兄要介の一腰がこしらえを変えた村正だった。要介は百合江への横恋慕から、杉弥を失脚させようと村正を盗み、妖刀にそそのかされて死骸を試し斬りしたのだった。右門は越前家の名を思って事を胸に秘め、要介を諭して見逃し、恋人たちの仲を祝福して月夜の道を帰る。

登場人物

冒頭部(原文より)

1  ――今回はいよいよ第七番てがらです。  由来、七の数は、七化け、七不思議、七たたりなどと称して、あまり気味のよくないほうに縁が多いようですが、しかし右門のこの七番てがらばかりは、いたって小気味のよい捕物美談ともいうべきもので、しかも事の勃発いたしましたのは、あの古井戸事件がめでたく落着してからまもなくの、といっても十日ほどたったちょうどお盆の十六日のことでした。

「右門捕物帖 村正騒動」佐々木味津三(青空文庫)

末尾部(原文より)

「あばたの敬四郎めが、下手人はあのときであがったと思い違えて、ここまでつけてこなかったのは、もっけのさいわいだったな。あいつはむやみと人を罪におとしたがるやつだからな。――おお、いい月だ! 今はじめてお目にかかるんじゃねえが、いつ見てもお月さんはいい色をしておいでだな」  ――かくて、義によって立ち、義をもってさばき終わった右門の第七番てがらは、その月のゆかしい光のごとくに、知る人の心にのみ、ゆかしくも高いかおりを残すことになりました。

「右門捕物帖 村正騒動」佐々木味津三(青空文庫)

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