アプリで読む

無料・登録不要

半七捕物帳 お照の父(岡本綺堂)のあらすじ・登場人物

明け方の芸妓家に飛び込む黒い影

  • ミステリ
  • 歴史

岡本綺堂 

文字数
15,545字
読了目安
約31分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

岡本綺堂「半七捕物帳」の一編。以前に向島で約束した「河童と蛇の捕物」の話を「わたし」にせがまれ、半七老人がまず河童の一件を語る。慶応元年五月二十八日、世情の騒がしさから両国の川開きの花火が取りやめになった日、柳橋の若い芸妓お浪が半七の家に泣き込んでくる。姉芸妓お照の父新兵衛が、明け方、水口から飛び込んできた子どものような黒い怪物に寝床で喉を切られて死に、お照が番屋に留め置かれたという。柳橋の芸妓家の暮らしや、向う両国に並ぶお化けや因果物の見世物小屋など、幕末の江戸の盛り場の風景のなかで、半七は殺された父親の過去へと目を向けていく。

あらすじ

慶応元年五月二十八日、柳橋の芸妓お照の父新兵衛が、明け方に水口から飛び込んできた子どものような真っ黒な者に、蚊帳のなかで喉を切られて死んだ。新兵衛が近ごろ急に土地を引き払って沼津か駿府へ移ろうと言い出し、娘と言い争っていたため、お照は番屋に留められ、情夫の古着屋の息子定次郎も疑われる。妹芸妓お浪から相談を受けた半七は、新兵衛が正直な結構人で、毎月四日に両国で放し鰻をしていること、先月から六部が出入りするようになって引っ越しを言い出したことを聞く。半七は台所の柱に残る鍋墨の小さな手形を見つけ、向う両国の見世物小屋で河童に扮する少年長吉の仕業と見抜く。新兵衛の腕の刺青が入墨を隠すためのものだったことから、暗い過去もうかがえた。子分の幸次郎が長吉を引き挙げるが、夕立のどさくさに自身番から逃げられる。向島の料理屋で、堤で酔った武士が菅笠の小僧の裾をまくると尻に銀の目玉が光り、川へ投げ捨てたと聞いた半七は、堤下で気を失った長吉を見つける。長吉は、父長左衛門の仇を討ったと白状した。十三年前、信州で長左衛門と新兵衛は押し込みを働いて一家を殺し、新兵衛は相棒を密告して逃げ延び、長左衛門は磔になっていた。長吉の叔父長平は六部となって江戸へ来て新兵衛と再会し、いったんは許したものの、金を無心するうちに本性に戻り、拒まれると甥を唆したのだった。長平は死罪、長吉は遠島となった。

登場人物

冒頭部(原文より)

     一 「いつか向島でお約束をしたことがありましたっけね」 「お約束……。なんでしたっけ」と、半七老人は笑いながら首をかしげていた。 「そら、向島で河童と蛇の捕物の話。あれをきょう是非うかがいたいんです」

「半七捕物帳 お照の父」岡本綺堂(青空文庫)

末尾部(原文より)

「蛇も出たんでしょう」 「蛇……。いや、謎をかけないでもいい。ついでにみんな話しますよ。しかしこの蛇の方の話は少しあいまいなところがあるんですね。まあ、そのつもりで聴いてください。場所は向島の寮で、当世の詞でいえば、その秘密の扉をわたくしが開いたというわけです」

「半七捕物帳 お照の父」岡本綺堂(青空文庫)

原文を読む

原文は青空文庫で公開されています(アプリからも同じ本文をダウンロードして縦書きで読めます)。

青空文庫の図書カード

同じ作家の作品

近い作品