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右門捕物帖 やまがら美人影絵(佐々木味津三)のあらすじ・登場人物

小石をかわしたやまがら使いの女

  • ミステリ
  • 歴史

佐々木味津三 

文字数
18,359字
読了目安
約37分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

佐々木味津三の捕物小説「右門捕物帖」全38話の第三十八話で、連作の最終話。口数の少ない南町奉行所の同心「むっつり右門」こと近藤右門と、おしゃべりな手下の伝六が江戸の事件を解く。春の昼下がり、南町奉行所の大白州で、与力同心総立ち会いの大吟味が開かれる。浅草奥山でやまがらを使う小屋芸人のお駒が、鳶頭殺しの疑いで六十日責められても口を割らず、証拠も合わないまま放免となった。そのうしろ姿に、右門は一つの小石を投げつける。最終話らしく、作者の結びの言葉で連作が締めくくられる。

あらすじ

浅草三番組の鳶頭音蔵が殺された一件で、やまがら使いのお駒が捕らえられて六十日。現場の匕首はお駒の物だが、音蔵の傷はうしろ袈裟の刀傷で、着物の血もお駒は転んだ傷のものと言い張り、どう責めても口を割らない。大吟味の末に放免となったお駒の背に、右門は白州の小石を投げつけ、お駒は一瞬で身をかわした。武芸の心得ありと見た右門は、伝六と音蔵の家へ行く。そこには妻女に寄りつく御家人くずれの男がいて、続いて訪ねたお駒の家にも、そっくり同じ顔の男が寝そべっていた。二人は同じ男なのか、別人なのか。伝六に聞きこみをさせているうち、音蔵が殺されたのと同じ火の見の下で、またも男が斬り殺される。右門がお駒の家へ急ぐと、お駒はひとりやまがらを遊ばせていた。部屋には武士の立派な位牌があり、やまがらの飛んだあとの血をたどって戸棚を開けると、肩まで斬られたもう一人の男が転がり出た。二人はよく似た腹違いの兄弟だったのである。お駒は三州挙母の貫心一刀流の家の娘で、兄を討たれ、やまがら使いに身をやつして八年かたきを探していた。音蔵の妻に横恋慕した兄と、お駒に言い寄る弟は、音蔵こそ兄のかたきだと偽ってお駒に音蔵を討たせ、その弱みにつけこもうとした。牢でもかたき討ちのために耐え抜いたお駒は、放免されるとだました兄弟を斬ったのだった。右門は、まことのかたきを必ず討つと誓うお駒を、討って戻るまでは口をつぐむと約して逃がしてやる。

登場人物

冒頭部(原文より)

1  その第三十八番てがらです。 「ご記録係!」 「はッ。控えましてござります」 「ご陪席衆!」 「ただいま……」 「ご苦労でござる」

「右門捕物帖 やまがら美人影絵」佐々木味津三(青空文庫)

末尾部(原文より)

「鳥がかわいそうです。せめてあっしもなにか功徳をと思って、追いかけているんですよ。――来い。来い。このおじさんだって、大きになさけはあるんだ。帰るまで飼ってあげるよ。おっかねえことはねえ。早く来い。来い。ここへ来な……」  声を聞いたか、やまがらがくるくると目を丸めながら、ぴたりと伝六の手にとまって、またひとりでにかごの中へはいりました。  かたきを討って、いつの日お駒が右門のところへ帰ってくるか、それまでは右門捕物帖も筆を休めて時を待ちたいと思います。――作者。

「右門捕物帖 やまがら美人影絵」佐々木味津三(青空文庫)

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