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半七捕物帳 ズウフラ怪談(岡本綺堂)のあらすじ・登場人物

闇夜に名を呼ぶ富士裏の声

  • ミステリ
  • 歴史

岡本綺堂 

文字数
16,974字
読了目安
約34分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

岡本綺堂「半七捕物帳」の一編。冒頭で、遠くの人を呼ぶ蘭渡りの銅製の喇叭「ズウフラ(ルウフル)」を『言海』の説明で紹介し、それを使った悪ふざけが出てくる滑稽本『和合人』に触れてから本題に入る。安政四年の秋、寺の多い駒込富士前町の裏手で、闇夜に「おうい、おうい」と人を呼ぶ怪しい声が評判になる。鰻縄手の町道場の厳格な師範、奥州浪人岩下左内は、怖がる門弟たちを叱って、自ら正体を見届けに出かける。物の題名を冒頭から明かしながら、なお怪談の陰にある人の心を追っていく一話。

あらすじ

安政四年九月、駒込の富士裏あたりで、闇夜の通行人を哀れな声で呼ぶ怪異が噂になる。鰻縄手で町道場を開く奥州浪人の岩下左内は、怯える門弟を叱りつけ、旗本の次男池田喜平次と酒屋岡崎屋の伜伊太郎を連れて正体を見届けに出る。夜ふけ、喜平次らは師匠を見失ったと戻り、左内は田川のほとりで斬殺体となって見つかる。二人は、声に「岩下左内、待て」と呼ばれ、「年経る白狐」と名乗る声を左内が追っていったと語った。半七は声の正体をズウフラと見抜き、子分の亀吉と調べに入る。植木屋の若い者長助も、その声に誘われて額を割られたという。半七は伊太郎の離縁した嫁おそよの実家を訪ね、伊太郎と左内の若い妻お常との密通が離縁のもとだったと突き止める。初七日の逮夜、道場の外に張り込むと、怪しい声が「御新造さん、仏さまは浮かびませんよ」と呼びかけた。隣家の屋根に石を投げると、近所の質屋の伜辰次郎が転げ落ちる。辰次郎は質草のズウフラを持ち出し、長助にそそのかされて人を驚かしていたが、あの夜、喜平次と伊太郎が師匠を闇討ちにするのを物陰で見ていたのだった。密通の露顕を恐れた伊太郎と、道場を乗っ取ろうとした喜平次が、怪談を利用したのである。伊太郎とお常は磔刑となり、喜平次は屋敷で腹を切らされたという。

登場人物

冒頭部(原文より)

まず劈頭にズウフラの説明をしなければならない。江戸時代に遠方の人を呼ぶ機械があって、俗にズウフラという。それに就いて、わたしが曖昧の説明を試みるよりも、大槻博士の『言海』の註釈をそのまま引用した方が、簡にして要を得ていると思う。言海の「る」の部に、こう書いてある。――ルウフル(蘭語Rofleの訛)遠き人を呼ぶに、声を通わする器、蘭人の製と伝う。銅製、形ラッパの如く、長さ三尺余、口に当てて呼ぶ。訛して、ズウフル。呼筒。――

「半七捕物帳 ズウフラ怪談」岡本綺堂(青空文庫)

末尾部(原文より)

辰公も吟味中、町内預けになっていたんですが、いつか抜け出して行って、富士裏の森で首を縊って死んでしまいました。そうなると、又その幽霊が出るとかいうのでひと騒ぎ、世の中に怪談の種は尽きないものです」

「半七捕物帳 ズウフラ怪談」岡本綺堂(青空文庫)

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