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右門捕物帖 七七の橙(佐々木味津三)のあらすじ・登場人物

城を巡る七つの空駕籠

  • ミステリ
  • 歴史

佐々木味津三 

文字数
26,110字
読了目安
約52分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

佐々木味津三の捕物小説「右門捕物帖」全38話の第二十六話。口数の少ない南町奉行所の同心「むっつり右門」こと近藤右門と、おしゃべりな手下の伝六が江戸の事件を解く連作。正月七日、七草がゆの朝。こたつにこもる右門のもとへ、伝六が奇妙な知らせを持ちこむ。日本橋、須田町、湯島と、江戸の町のまんなかに、人足のいない空の辻駕籠が一つずつ置き捨てられているという。駕籠の向きを順にたどると、城のまわりをぐるりと回っていることがわかる。七の数が重なる謎めいた仕掛けが楽しい新春の一編。

あらすじ

正月七日の朝、日本橋の橋のまんなかに、人足のいない辻駕籠がぽつんと置かれていた。須田町、湯島、水戸家の屋敷前と、同じような空駕籠が七か所にあり、その向きをたどると城のまわりを回って土橋御門に行き着く。右門が土橋の駕籠を改めると、中には落ち残りの橙が一つずつ載せてあった。そこにいた町奴は、ごひいきの屋敷に頼まれ、七つの橙を七日の七ツ刻から七つの駕籠に乗せて城のまわりを運んだが、わけは知らず、頼み手の名は男の意地で言えないと突っぱねる。伝六は子分にばくちの話を持ちかけ、親分が大根河岸のさかさねこの伝兵衛だと聞き出して乗りこむが、頼み手は割れない。ところがその直後、伝兵衛が縁側に呼び出されて急死する。右門は、七つの橙がどれも何年も枝に残った落ち残りで、一つに細い針が打ちこまれているのを見つけていた。伝兵衛の死骸からも同じ三角の含み針が見つかり、残った匂いから下手人は女とわかる。右門は寺社奉行の許しを得て寺の人別帳を調べ、山住流の含み針を使う武芸者をたどって、牛込弁天町の左京流小太刀の師範小林玄竜の道場に行き着く。道場で一番弟子の源之丞を呼ぶ玄竜の娘菊代に針を見せると、菊代は泣き崩れた。源之丞への片思いに悩んだ菊代は、目黒の行者に七七の橙の恋慕祈りを教えられ、駕籠を城のまわりに運ばせ、人に知られては念が通らぬと伝兵衛を殺していたのだった。右門は堅物の源之丞をたしなめる。

登場人物

冒頭部(原文より)

1  その第二十六番てがらです。  物語の起きたのは年改まった正月のそうそう。それも七草がゆのその七日の朝でした。起きても御慶、寝ても御慶の三カ日はとうにすぎたが、なにしろまだめでたいし、松の内はお昼勤めとお許しの出ているその出仕には時刻がまだ少し早いし、朝の間のそのひとときを、ふくふくとこたつに寝そべりながら、むっつり右門のお正月はやっぱりこれじゃといわぬばかりに、そろりそろりとあごをなでては一本、またなでては一本抜いていると、

「右門捕物帖 七七の橙」佐々木味津三(青空文庫)

末尾部(原文より)

「ウッフフ。ね、だんな! 口はちょうほうなものですよ。あんまりはばったいことをおっしゃるもんじゃござんせんぜ。堅いばかりが能じゃねえとかなんとか大きにご説法なすったようだが、そういうだんなはどうです! 焦がれ死にするくれえに片思いの娘っ子たちが幾人いるかわからねえんだ。いいかげんにだんなもほっかりと蒸しかげんのいい人間にならねえと、七橙かなにかで祈られますぜ」  ――知らぬ知らぬというように、名人の足の下でちゃらりちゃらりと雪駄の音が鳴りました。

「右門捕物帖 七七の橙」佐々木味津三(青空文庫)

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