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右門捕物帖 死人ぶろ(佐々木味津三)のあらすじ・登場人物

風呂おけの中で死んだ継母

  • ミステリ
  • 歴史

佐々木味津三 

文字数
20,590字
読了目安
約41分
表記
新字新仮名
種別
小説
舞台
  • 東京都

この作品について

佐々木味津三の捕物小説「右門捕物帖」全38話の第三十三話。口数の少ない南町奉行所の同心「むっつり右門」こと近藤右門と、おしゃべりな手下の伝六が江戸の事件を解く連作。秋の近づく霧の朝、柳原のお馬場で南町奉行所の面々が馬術の稽古をしていると、伝六を乗せた暴れ馬を、十一、二の少年がぴたりと止めてみせる。少年は伝六の名を知っており、継母が風呂おけの中で死んでいて、父があばたの敬四郎に引っ立てられそうだと泣いて訴える。角兵衛獅子の囃子が流れる初秋の江戸を背景にした一編。

あらすじ

柳原のお馬場の朝稽古で、伝六の乗った馬が暴れだし、十一、二の少年が止める。少年は神田の米屋増屋の息子で、継母がけさ風呂おけの中で死んでいるのが見つかり、敬四郎が父を下手人として縛ろうとしていると訴える。駆けつけると、妹の綾が風呂おけのふたの上に座りこみ、敬四郎を寄せつけまいとしていた。死体は三十ばかりの女で、血も傷もないが、首と乳房に小さな爪のあとがある。父の弥五右衛門は、ゆうべ女房の七百両を背負って夜中に出かけたのに、行き先を言おうとしない。継子いじめを恨んでの子どもの仕業と見た敬四郎は、父子三人を引っ立ててしまう。右門は風呂場の高い窓の羽目板に、二人の子どもの手のあとを見つける。伝六が見つけた駕籠屋の受け取りから、弥五右衛門が夜中に小石川伝通院裏の恵信寺へ駕籠で行き、鍬と小判を持って境内に入ったことがわかる。駕籠屋の話では、死んだ女は吉原の女郎上がり。後妻の口をきいた両国の松長を訪ねると、耳の聞こえない老親分は筆談で、女はマキという名で年季明けの後に女衒をしていて、持参の七百両は子どものかどわかしでためたものだといううわさを明かす。身の軽い子どもと見た右門は、さいころの起き上がるさまから角兵衛獅子に思い当たり、旅籠町の宿で子どもたちの着物に貼り紙をして揺さぶりをかける。名乗り出たのは十二の二人だった。浅草の永徳寺の小僧だった二人は、マキにかどわかされて越後の角兵衛獅子に売られ、柳原でマキを見つけて恨みを晴らしたのである。右門は増屋の親子を牢から出し、二人の寺へ知らせを約束する。

登場人物

冒頭部(原文より)

1  その第三十三番てがらです。  朝ごとに江戸は深い霧でした……。  これが降りるようになると、秋が近い。秋が近づくと、江戸の町に景物が決まって二つふえる。角兵衛獅子に柳原お馬場の朝げいこ、その二つです。

「右門捕物帖 死人ぶろ」佐々木味津三(青空文庫)

末尾部(原文より)

「あい、はいります……ふたりして、いっしょにはいります……」  進んで入牢を急ぐ子どもたちと、喜んで牢を放たれるきょうだいたちが、右門のそでの陰でさびしく笑顔を送り合いました。

「右門捕物帖 死人ぶろ」佐々木味津三(青空文庫)

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