私の探偵小説(坂口安吾)のあらすじ・登場人物
探偵小説は高級なオモチャ
- ミステリ
- 文字数
- 1,677字
- 読了目安
- 約3分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 随筆
この作品について
『不連続殺人事件』の連載を「宝石」ではなく純文学雑誌に載せることになった事情を、探偵雑誌の読者に向けて説明した短い随筆。詰碁や詰将棋と同じ休息用のオモチャとして探偵小説を読む、という安吾の姿勢がはっきり語られ、純文学も同じように自由に読まれてよいと述べる。読者に犯人当ての賞金を賭けるという「ゲーム」の約束にも触れる。
あらすじ
筆者は探偵小説が好きで、仕事に疲れたとき、詰碁や詰将棋と同じように休息用に読む。探偵小説を書く人が芸術品のように扱われたがるのはうなずけるが、そんな必要はないと思う。純文学もまた、休息用に読まれて構わず、読む人の自由である。自分も同好の士に退屈しのぎの贈り物をしたいと考え、『不連続殺人事件』を書きだしたが、もともと「宝石」に載せる約束だったものを、用紙割当で誌面が減った事情から純文学雑誌に載せたため、編輯の人たちには恨まれた。探偵小説は構想とトリックを緻密にまとめてから書くもので、徒然に新しい構想が浮かぶまで書かない。次に書く推理小説は必ず「宝石」に連載し、読者に犯人当ての賞金を賭ける。探偵小説は最も高級なオモチャの一つだと筆者は考える。
冒頭部(原文より)
私は探偵小説が好きなのである。 私は仕事に疲れ、二三十分ごろりとねころんで休憩するとき、詰碁か詰将棋か探偵小説を読む。探偵小説の在り方はそれでいゝのだろうと思う。探偵小説を書いている人たちは自分が苦労して書いているから芸術品のように尊重されたいと考える。その気持もうなずけるが、そんな風に言う必要のないことだと私は思っているのである。
「私の探偵小説」坂口安吾(青空文庫)
末尾部(原文より)
そのときは、必ず新しいトリック、新しい色々な手法をとゝのえて読者に挑戦する考えで、私の推理小説はあくまでゲームをプレゼントする心構えのものだから、私は一生、私の推理小説には、私自身から犯人当てっこの賞金を賭けて、読者にゲームをたのしんで貰うつもりでいる。 まったく私にとっては探偵小説ぐらい息ぬきになるオモチャはないから、読者もそういうものだという風に仮定しているだけの話、実際、探偵小説は最も高級なオモチャの一つだろうと私は考えている。
「私の探偵小説」坂口安吾(青空文庫)
原文を読む
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