四次元漂流(海野十三)のあらすじ・登場人物
消えた学士嬢と四次元
- SF
- ミステリ
- 文字数
- 63,394字
- 読了目安
- 約2時間7分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
1946年(昭和21年)3月から翌年2月まで「子供の科学」に連載された、海野十三の少年向けSF長編。密室から忽然と消えた女性学士の謎を、隣家の少年・三田道夫が追う。幽霊騒ぎ、探偵、そして四次元世界という科学の仮説が結びつき、「四次元漂流」という題名の謎が明かされていく。
あらすじ
中学二年生の三田道夫は、隣家の木見雪子学士が、内側から鍵のかかった研究室から忽然と姿を消したことを知る。警視庁も捜査にあたるが手がかりはなく、やがて木見家には幽霊が出没するとの噂が立つ。道夫は雪子の師である川北先生の協力を得て、雪子の研究ノートを手がかりに、幽霊の正体と、雪子が研究していた四次元世界の秘密に迫っていく。探偵・蜂矢十六や警視庁の田山課長も加わり、事件は意外な展開を見せる。
登場人物
- 三田道夫 中学二年生で、行方不明の雪子を探す少年
- 木見雪子 研究室から姿を消した女性学士
- 川北先生 雪子の師で、研究ノートを託される
- 蜂矢十六 事件を調べる探偵
- 田山課長 警視庁の捜査課長
冒頭部(原文より)
この「四次元漂流」という妙な題名が、読者諸君を今なやましているだろうことは、作者もよく知っている。 だが作者は、この妙な題名について、今何よりも先に、それを説明することはしない。だから読者諸君は、ここしばらくの間、この妙な題名についてなやまされるであろう。読者諸君が、さようになやんでいるのを、作者は意地わるい微笑をうかべて、悪魔じみた楽しさを只一人味わいたいつもりではない。いや、それとは反対に、読者諸君の興味を最も大きくしたいために、今はわざと何も説明しないのだ。
「四次元漂流」海野十三(青空文庫)
末尾部(原文より)
雪子が死んでしまったので、三次元世界と四次元世界との間の交通がどうした方法によってできるのか、ついに謎のまま残されることになった。蜂矢十六は、それは多分身体にある特殊の振動を加えることではないかと思うと道夫にちょっと語ったが、息たえた雪子の死体が明らかに三次元世界へもどりえたこと、それまでは雪子の身体にふれたものは気持わるい振動を感じたことから思いあわせて、それは本当かもしれない。 川北先生はその後、六十日目にようやく意識を回復したが、先生の話によると、雪子学士とともに四次元漂流中の記憶といえば、苦しさの外になにもおぼえていないそうである。三次元世界と四次元世界との交通を、これから誰が開こうとするのか。道夫少年が大きくなったらそれを進めるかもしれない。そのときは蜂矢探偵と川北先生とがよい相談相手になることであろう。
「四次元漂流」海野十三(青空文庫)
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