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山の神殺人(坂口安吾)のあらすじ・登場人物

邪教をだます男の企み

  • ミステリ
  • 社会

坂口安吾 1953年(昭和28年)8月 「講談倶楽部」

文字数
10,015字
読了目安
約20分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

1953年8月『講談倶楽部』に載った短編。父が布教師に金を渡して息子を殺させた事件の新聞記事を冒頭に引き、「百姓の王様」を夢みる公安委員の農家の主人と、新興宗教の行者、疑り深い刑事が絡み合う。邪教を利用しようとする人間の欲と、探偵役の刑事の読みを描く。

あらすじ

父が信者の布教師に十万円を渡して息子を殺させた、という新聞記事の引用から物語は始まる。公安委員の山田平作は、先妻の子で三十三歳になる長男・不二男が闇や不良仲間と警察沙汰を繰り返すのを疎み、勘当を考えている。署では農家の娘殺しで取り調べを受けた山の神の行者お加久が昼夜お題目を唱え、不二男はその信者を装って釈放され、帰り道に姿を消す。刑事の小野は、不二男が後家のヒサの家へ向かったとみる。平作は、お加久と信者の兵頭清を自宅の馬小屋に招き、暗闇のなかで二人の手を握らせて、不二男には死神と狐が憑いており、首を斬り落とさなければ落とせないと吹きこむ。兵頭は日光の山中で不二男を殺す。小野刑事は手紙と切符から兵頭を突き止め、平作は逮捕されるが、牢の中でも「オレは王様だ」と叫ぶ。

登場人物

冒頭部(原文より)

 公安委員の山田平作は夜になるのを待って町の警察へ出頭した。長男不二男がヤミであげられていたからである。 「ご苦労さまです」  署長が気の毒そうに彼を迎えた。

「山の神殺人」坂口安吾(青空文庫)

末尾部(原文より)

たぶん彼はこの世で実現できなかった夢を牢屋の中へ持ちこんでいるのだろう。むしろ牢屋の中での方が、彼の夢は実現し易いのかも知れない。 「オレは王様だ。王様を牢にとじこめるとは何事だ」  彼は時々格子にしがみついて、歯ぎしりして叫んでいるそうである。

「山の神殺人」坂口安吾(青空文庫)

原文を読む

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