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寿の門松(近松門左衛門)のあらすじ・登場人物

金と親子の情が絡む新町

  • 恋愛
  • 古典

近松門左衛門 1718年1月

文字数
18,452字
読了目安
約37分
表記
新字旧仮名
舞台
  • 大阪府

この作品について

近松門左衛門の人形浄瑠璃。正式な外題は「山崎与次兵衛寿の門松」。1718年(享保3年)正月に大坂・竹本座で初演された世話物で、上・中・下の三巻から成る。新町の遊女・吾妻と、山崎の富商の息子・与次兵衛は深い仲だが、与次兵衛には妻のお菊と、金に細かい父・浄閑がいる。吾妻に恋をした難波屋の落ちぶれた息子・与平は、吾妻の情けに感じて江戸へ稼ぎに出る。その夜、吾妻に振られた客の彦介が、与次兵衛の小袖を着た与平を与次兵衛と思い込んで待ち伏せ、騒動が起こる。中巻には、将棋の駒の動きに、示談の金の出しどころを重ねた舅と親のやり取りがある。本書は「近代日本文学大系」第7巻(国民図書、1928年)による原文で、国立国会図書館が公開する底本の画像とOCRテキストを照らし合わせて起こし、収録した。

あらすじ

【上巻】正月の新町。藤屋の太夫・吾妻のあとを、落ちぶれた老婆がつけてくる。かつて千貫目の商いをした難波屋の婆で、日雇いで暮らす息子の与平が吾妻に思いを寄せ、恋の病にかかっているという。吾妻は婆を哀れみ、与次兵衛という深い仲の男がいる身と明かしながらも、与次兵衛の小袖を与平に渡して励ます。与平は涙を流し、江戸へ下って金を稼ぐと誓う。井筒屋に与平が小袖を着て来ると、客の彦介が吾妻に言い寄って振られ、与平に足首をつかまれて投げ伏せられる。やって来た与次兵衛は、事情を聞いて与平と心を通わせる。与平は江戸へ発つ前に、小袖をまとって帰る。待ち伏せていた彦介は、その姿を与次兵衛と思い込んで斬りかかり、与平に傷を負わされる。町が騒ぎ出すと、与次兵衛は自ら名乗り出て、彦介に取り押さえられる。【中巻】与次兵衛は与平の名を出さず、罪を一人で引き受けて、山崎の父・浄閑のもとの座敷牢に預けられる。妻のお菊は夫を気づかい、お菊の父・治部右衛門は、将棋にかこつけて浄閑に示談の金を出させようとするが、浄閑は金を惜しんで応じない。治部右衛門は怒って駒を投げつけ、浄閑を責めて帰る。忍んで来た吾妻をお菊が哀れんで夫に会わせると、浄閑が現れ、鼠の譬え話で息子に逃げるよう遠回しに勧める。与次兵衛は父が咎めを受けると考えてためらうが、浄閑が自分の腹に合口を突き立てようと迫り、ついに落ち延びる約束をする。お菊に見送られ、与次兵衛と吾妻は駕籠で夜の道を急ぐ。【下巻】逃避行の道行のあと、場面は新町の井筒屋に戻る。江戸で大きく儲けた与平が来て、吾妻の手形を身請けしたいと申し出る。そこへ彦介が五十両を投げ出し、さらに宇多国行の一腰を持った浪人(治部右衛門)も現れて、身請けを争う。与平は千両を積み、親方を呼んで、吾妻の顔を見れば身請けは違いないかと念を押す。逃げようとした彦介は与平に投げ伏せられる。やがて、葛籠の中から与次兵衛と吾妻が現れ、治部右衛門は彦介を縛り上げる。親方は与平の差し出す三百両で吾妻の身請けを認め、残る金を撒いて、一同は二人の末長い契りを祝う。

登場人物

冒頭部(原文より)

筑波根の峯より落つる滝の白玉、一二三四、五六七八、九軒の町に羽交す、比翼の羽子板木欒子も、磨き入れては色に成る、恋の二葉の禿松、枝と枝とを遣羽子も、三四いつも末長に、返事に馴る門の松。

「寿の門松」近松門左衛門(青空文庫)

末尾部(原文より)

手拍子に口拍子、仕合拍子の三々九度、末は千秋万年も、変らぬ妹脊を重ねける。

「寿の門松」近松門左衛門(青空文庫)

原文を読む

原文はアプリに収録しています(縦書きで読めます)。底本:「近代日本文学大系」第7巻 近松門左衛門集 下(国民図書、1928年)。国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている底本の画像と、同館「次世代デジタルライブラリー」のOCRテキスト(パブリック・ドメイン)をもとに、画像と照らし合わせて起こし、本文だけを収録した(ルビ・註の印・曲節の指定・小見出し・解題・註釈は省いた)。旧字は新字に改めた(仮名遣いは底本のまま)。

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