装丁(装幀)とは
- 分類
- その他
- 読み
- そうてい
書物の表紙・見返し・扉・函などを整えて本の外観をつくること、またその意匠。「装幀」「装釘」とも書き、「装丁」は「幀」の字が当用漢字に入らなかったことから広まった表記である。明治以降に洋装本が広まると、画家が本の意匠を手がけることが増えた。夏目漱石の『吾輩ハ猫デアル』(上編は明治38年刊)は、『ホトトギス』で挿絵を描いていた橋口五葉が装丁を担い、本の上の切り口に金を塗る天金や、紙の端を裁たないアンカットなど、当時としては珍しい造本で知られる。挿絵には中村不折と浅井忠も加わった。五葉はその後も漱石の著書を数多く装丁し、漱石自身も大正3年(1914年)に岩波書店から出た『こゝろ』では自ら装丁を手がけている。詩集でも装丁は作品の一部と考えられ、与謝野晶子の『みだれ髪』(明治34年)では藤島武二が、恋の矢がハートを射る意匠の表紙をつくった。萩原朔太郎の『月に吠える』(大正6年)は恩地孝四郎が装丁し、田中恭吉と恩地の絵が添えられている。千家元麿の第一詩集『自分は見た』(大正7年)の装幀は岸田劉生によるもので、竹久夢二も多くの本や楽譜の表紙を手がけた。初版本の装丁は、作品が最初にどんな姿で読者の手に渡ったかを伝えるものとして、今日も文学館などで展示されている。