挿絵・口絵とは

分類
その他
読み
さしえ・くちえ

挿絵は本文の間に入れて内容を絵で示すもの、口絵は書物や雑誌の巻頭に置く絵をいう。江戸時代の草双紙や読本では絵と文が一体となって読まれ、明治の小説もその伝統を受け継いだ。明治20年代後半から大正の初めにかけては、春陽堂と博文館という二大出版社が、小説の単行本や『新小説』『文芸倶楽部』などの文芸雑誌の巻頭に、多色摺りの木版口絵を競って付けた。武内桂舟・水野年方・富岡永洗らに続いて、明治30年代後半からは鏑木清方・鰭崎英朋らが活躍し、泉鏡花の『高野聖』を収めた明治41年(1908年)の単行本にも清方の口絵が添えられている。詩集でも、島崎藤村の『若菜集』(明治30年)には中村不折の挿絵・口絵が、与謝野晶子の『みだれ髪』(明治34年)には藤島武二の挿絵が付いた。新聞小説では挿絵が人気を左右するほど重んじられ、小村雪岱は邦枝完二の『おせん』(昭和8年)の連載で江戸の情緒を描き出し、木村荘八は永井荷風の『濹東綺譚』(昭和12年)の連載に玉の井の町の情景を添えた。少年雑誌でも、吉川英治の『神州天馬侠』に付いた山口将吉郎の挿絵のように、絵が物語の印象を形づくることは多い。竹久夢二のように、雑誌のコマ絵や挿絵から出発して一世を風靡した画家もいる。

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