浮世とは
- 分類
- その他
- 読み
- うきよ
もとは「憂き世」、つまりつらく定めのない世の中を意味した語。仏教の無常観のもとで、中世までは、悲しみに満ちたこの世をさす言葉であった。江戸時代に入ると、「浮き世」と書かれて、どうせ定めがないのなら浮かれて楽しく暮らそうという気分や、現代風、当世風という意味を帯びるようになった。仮名草子の浅井了意『浮世物語』(寛文5年・1665年ごろ刊)は、この世を笑って生きる心構えを説いた。井原西鶴の『好色一代男』に始まる浮世草子は、当世の風俗と人間の姿をそのまま写した読み物であり、菱川師宣らが確立した浮世絵は、遊里や芝居など当世の町人の暮らしを描いた版画・肉筆画である。西鶴は辞世の句に「浮世の月見過しにけり末二年」と詠んだ。式亭三馬の『浮世風呂』『浮世床』、十返舎一九『東海道中膝栗毛』の初編の題『浮世道中膝栗毛』のように、戯作の題にも「浮世」が広く使われた。憂いと享楽が裏表になった語感に、近世の町人の人生観が表れている。