悪霊(江戸川乱歩)のあらすじ・登場人物
心霊術と犯罪の未完長編
- ミステリ
- 怪奇
- 文字数
- 33,957字
- 読了目安
- 約1時間8分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
江戸川乱歩が1933年(昭和8年)から翌年にかけて「新青年」に連載したが、中断して未完に終わった長編。作者自身を思わせる「発表者」が、あやしげな失業者から買い取った二冊の犯罪記録——降霊術の会に集う人々のあいだで起きる、奇怪な事件の手記を世に発表する、という枠組みで物語は進む。心霊術と犯罪を結びつけた乱歩の意欲作だが、書きさしのまま残された。
あらすじ
「発表者」——作者自身を思わせる小説家のもとへ、ある日、風体のよくない中年の失業者Nが、執拗な攻撃の末に押しかけ、二冊の分厚い犯罪記録を売りつけていった。人嫌いの「私」は、厄介払いのつもりでそれを買い取ったのだが、後日、不眠まぎれに読みはじめると、それが途方もない掘り出し物であることに気づく。徹夜して読み終えた「私」は、これは是非とも世に発表しなければと決意する。記録は、降霊術(心霊術)の会に集う人々のあいだで起きた、奇怪な事件の顛末をつづったものだった。手記の書き手・祖父江と、その周辺の人物たちをめぐって、超自然の装いをまとった犯罪の謎が、じわじわと立ちあらわれてくる。心霊術という当時流行の題材に、乱歩ならではの怪奇と本格推理の興味を織りこんだ長編だが、物語は結末を迎えることなく、書きさしのまま中断された。乱歩の未完の意欲作である。
冒頭部(原文より)
二月ばかり前の事であるが、N某という中年の失業者が、手紙と電話と来訪との、執念深い攻撃の結果、とうとう私の書斎に上り込んで、二冊の部厚な記録を、私に売りつけてしまった。人嫌いな私が、未知の、しかも余り風体のよくない、こういう訪問者に会う気になったのはよくよくのことである。 それから数日後のある夜、私は寝床の中で、不眠症をまぎらす為に、何気なくその記録を読み初めたが、読むに従って、非常な掘出しものをしたことが分って来た。私はその晩、とうとう徹夜をした上、翌日の昼頃までかかって、大部の記録をすっかり読み終った。
「悪霊」江戸川乱歩(青空文庫)
末尾部(原文より)
十月二十二日 祖父江生 岩井大兄 (未完)
「悪霊」江戸川乱歩(青空文庫)
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