キチガイ地獄(夢野久作)のあらすじ・登場人物
精神病院に監禁された男の告白
- 怪奇
- ミステリ
- 文字数
- 23,486字
- 読了目安
- 約47分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
この作品について
夢野久作の怪奇短編。精神病院に監禁された男が、退院を願って院長に「事情」を語り出す。復讐を企てた彼がなぜここに閉じ込められているのか。その告白を、独白体で描く一編である。
あらすじ
「院長さん、私の精神状態もヤット回復致しましたから、今日限り退院さして頂こうと思いまして」——男は、退院を願って院長に「事情」を語り始める。他人には洩らさないでほしい、生命にかかわる重大問題だと念を押しながら。彼の告白によれば、それは龍代という女への復讐から始まった。肱鉄を喰わされ、玩具にするつもりだったと冷笑された恨みから、彼はある企みを実行に移す——だが、その企みは思わぬ形で裏目に出て、あべこべに彼自身が「狂人」として、この病院に不法監禁されることになってしまったのだ。「俺あ谷山家に怨みがあるんだ。ココを出してくれ。不法監禁だぞ畜生……」——独白が進むほどに、語り手の正気と狂気の境界が揺らいでいく。読む者を眩暈させる、夢野久作らしい怪奇の一編である。
冒頭部(原文より)
……やッ……院長さんですか。どうもお邪魔します。 ええ。早速ですが私の精神状態も、御蔭様でヤット回復致しましたから、今日限り退院さして頂こうと思いまして、実は御相談に参りました次第ですが……どうも永々御厄介に相成りまして、何とも御礼の申上げようがありません。
「キチガイ地獄」夢野久作(青空文庫)
末尾部(原文より)
エエッ……コンナ篦棒な……不公平な……。 俺あ谷山家に怨みがあるんだ。ココを出してくれ。不法監禁だぞ畜生……ドウスルカ見ろ……龍代の阿魔……。出してくれ出してくれ出してくれくれくれ……出してくれッ……。出して……くれエエエ――ッ……。
「キチガイ地獄」夢野久作(青空文庫)
原文を読む
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