悪霊物語(連作探偵小説第一回)(江戸川乱歩)のあらすじ・登場人物
この爺さんは大悪人です
- ミステリ
- 怪奇
- 文字数
- 8,209字
- 読了目安
- 約16分
- 表記
- 新字新仮名
- 種別
- 小説
- 舞台
- 東京都
この作品について
三人の作家がリレー形式で書き継ぐ企画の発端篇として、江戸川乱歩が担当した一篇。小説家・大江蘭堂が人形師の仕事場を取材に訪ねたことから、老人形師をめぐる異様な世界へ引き込まれてゆく。末尾で蘭堂のポケットに忍び込まされた紙きれの走り書きが、そのまま次の書き手への引き継ぎになっている。乱歩自身の附記により、発展篇を角田喜久雄、解決篇を山田風太郎が書いたことがわかる。
あらすじ
小説家の大江蘭堂は、人形師の仕事部屋のことを書く必要に迫られた。ブリタニカやアメリカナや大百科辞典をひいてみたが、そういう具体的なことはわからない。そこで、いつも服をつくらせている銀座の洋服屋に電話をかけ、表の店に飾ってあるマネキン人形をどこから仕入れているのかと訊ねた——物語はそこから動きだす。紹介をたどって蘭堂が訪ねてゆくのは、常人ならぬ気配をまとった老人形師の仕事場である。人の肌をそのままに写した人形たち、異様に生々しい手や顔。取材のつもりで足を踏み入れた蘭堂は、次第にこの老人と、その周囲にいる人びとの関係が尋常でないことに気づいてゆく。……訪問を終えて外へ出た蘭堂は、暗い町を電車の駅へ向かって歩きながら、去りぎわにさわられた感触を思い出す。もしやと気づいてそちら側のポケットに手を入れると、小さな紙きれが入っていた。街燈の下まで急いで調べると、鉛筆で走り書きがしてある。「この爺さんは大悪人です。助けて下さい。わたしは殺されます」——発端はここで断ち切られ、あとは次の書き手に委ねられる。
登場人物
- 大江蘭堂 人形師を取材に訪ねる小説家
- 老人形師 常人ならぬ気配をまとった人形の名手
冒頭部(原文より)
老人形師 小説家大江蘭堂は、人形師の仕事部屋のことを書く必要に迫られた。ブリタニカや、アメリカナや、大百科辞典をひいて見たが、そういう具体的なことはわからなかった。 蘭堂は、いつも服をつくらせている銀座の洋服屋に電話をかけた。そして、表の店に飾ってあるマネキン人形は、どこから仕入れているのかと訊ねた。
「悪霊物語(連作探偵小説第一回)」江戸川乱歩(青空文庫)
末尾部(原文より)
街燈の下まで急いで、その紙きれを調べると、鉛筆で次のような走り書きがしてあった。 「この爺さんは大悪人です。助けて下さい。わたしは殺されます」 【附記】これも一挙掲載で、私の次の発展篇を角田喜久雄君、解決篇を山田風太郎君が執筆した。
「悪霊物語(連作探偵小説第一回)」江戸川乱歩(青空文庫)
原文を読む
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