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暗黒星(江戸川乱歩)のあらすじ・登場人物

怪西洋館に取り憑く凶運

  • ミステリ

江戸川乱歩 1939年(昭和14年)1月 「講談倶楽部」

文字数
94,025字
読了目安
約3時間8分
表記
新字新仮名
種別
小説

この作品について

江戸川乱歩が1939年(昭和14年)、「講談倶楽部」に連載した明智小五郎ものの長編。麻布の廃墟のような一角に建つ、古城めいた赤煉瓦の西洋館「伊志田屋敷」。奇人の資産家・伊志田鉄造氏の一家に、次々と不吉な出来事が襲いかかる。一家に取り憑いた「暗黒星」のような凶運の正体を、名探偵・明智小五郎が解き明かす。怪奇の雰囲気ゆたかな乱歩長編である。

あらすじ

東京のまん中、麻布のK町に、震災の焼け跡の草原に取り残されたような、古城めいた赤煉瓦の西洋館が建っていた。近所の人々が「伊志田屋敷」「伊志田さんのお城」と呼ぶその奇怪な館には、奇人の資産家として知られる伊志田鉄造氏の一家が住んでいた。ある曇った春の夜、この一家に、次々と不吉な出来事が襲いかかりはじめる。まるで一家全体が「暗黒星」——凶運の星——のもとに置かれたかのように、恐ろしい事件が連鎖していくのだ。事件に挑むのは、名探偵・明智小五郎。錯綜する謎を追ううちに明智がたどりついた真相は、常人には理解しがたい、執念に取り憑かれた人間の姿だった。「われわれの知っている人間とはまったく別物のようですね。この青年は執念の子に違いありません。親子二代にまたがる邪念の結晶です」——捜査課長のことばに、さすがの明智も、言うすべを知らぬかのように憮然として腕をこまぬくのだった。怪奇の雰囲気に満ちた、乱歩の明智もの長編である。

登場人物

冒頭部(原文より)

 東京旧市内の、震災の大火にあわなかった地域には、その後発展した新しい大東京の場末などよりも、遥かに淋しい場所がいくつもある。東京のまん中に、荒れ果てた原っぱ、倒れた塀、明治時代の赤煉瓦の建築が、廃墟のように取り残されているのだ。  麻布のK町もそういう大都会の廃墟の一つであった。震災に焼きはらわれた数十軒の家屋のあとが、一面の草原に取り囲まれるようにして、青苔の生えた煉瓦塀がつづき、その中の広い地所に、時代のために黒くくすんだ奇妙な赤煉瓦の西洋館が建っている。化けもの屋敷のように建っている。

「暗黒星」江戸川乱歩(青空文庫)

末尾部(原文より)

「われわれの知っている人間とはまったく別物のようですね。さっき自分でも言っていた通り、この青年は執念の子に違いありません。親子二代にまたがる邪念の結晶です」  さすがの明智小五郎も、言うすべを知らぬかのように、憮然として腕をこまぬくのであった。

「暗黒星」江戸川乱歩(青空文庫)

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