葡萄水(宮沢賢治)のあらすじ・登場人物
野葡萄から生まれた密造酒
- 風刺
- 家族
- 文字数
- 3,592字
- 読了目安
- 約7分
- 表記
- 新字旧仮名
この作品について
宮沢賢治の短編童話。野原で野葡萄をとって帰る農夫耕平と、その葡萄でつくった密造酒が、すべてはじけて消えるまでを、語り手の軽口を交えて描く。東北の方言の会話と、五つの小さな章立てが特徴。
あらすじ
(一)耕平は兵隊の上着を着て、秋の野原へ野葡萄をとりに出る。歌のような声が野原のさびしさを歌うが、耕平は「さっぱりさびしくない」と言い、葡萄をとる。(二)夕方、背中いっぱいに葡萄を背負って帰る。(三)夜、家族で葡萄の粒をむしる。子供は青い粒を見つけて「青い青い」と騒ぎ、語り手が青い葡萄に詫びる。(四)三日後、おかみさんが葡萄をしぼり、耕平は今年は砂糖を入れて酒にして、税務署に見つからないよう床下に隠そうと言い、二十本ほどの瓶に詰める。(五)六日後、雪が降り、どこからか爆発のような音が聞こえる。噴火かと話すうち、耕平は葡萄酒がはじける音だと気づいて飛び込むが、二十本の瓶はたいていはじけて、黒い酒は落しの底に流れていた。
登場人物
- 耕平 兵隊の上着を着て野原へ葡萄をとりに行く農夫
- 耕平のおかみさん 葡萄をしぼり、瓶に詰める
- 耕平の子 葡萄の房を振りまわす
冒頭部(原文より)
耕平は髪も角刈りで、おとなのくせに、今日は朝から口笛などを吹いてゐます。 畑の方の手があいて、こゝ二三日は、西の野原へ、葡萄をとりに出られるやうになったからです。 そこで耕平は、うしろのまっ黒戸棚の中から、兵隊の上着を引っぱり出します。
「葡萄水」宮沢賢治(青空文庫)
末尾部(原文より)
耕平が、そっとしまった葡萄酒は 順序たゞしく みんなはじけてなくなった。 と斯う云ふわけです。 どうです、今度も耕平はこの前のときのやうに 「ふん、一向さっぱり当り前ぁだんぢゃ。」と云ひますか。云ひはしません。参ったのです。
「葡萄水」宮沢賢治(青空文庫)
原文を読む
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